山本学園情報文化専門学校

「即戦力となるIT人材を育てる授業」を展開する
山本学園情報文化専門学校と、カリキュラム支援を行うヤマハの取り組み

山本学園情報文化専門学校
(左)山本学園情報文化専門学校 教員 西手 克也 氏 (右)山本学園情報文化専門学校 副校長 天野 孝康 氏
IT人材不足が叫ばれるなか、デジタル技術を利用したすべてのサービスを支えるネットワークエンジニアの需要はとくに高まっている。ルーターやスイッチなどのネットワーク製品を展開しているヤマハ株式会社は、ネットワークエンジニアのスキルアップを目的とした公式認定制度「ヤマハネットワーク技術者認定試験(Yamaha Certified Network Engineer:以下YCNE)」をスタートさせた。
学校法人山本学園 山本学園情報文化専門学校 では、YCNEの初級「YCNE Basic★」をベースとしたヤマハのネットワークカリキュラムを導入し、実践的な授業を実現しているという。本稿では同校の副校長 天野 孝康 氏とネットワークの授業を担当する教員 西手 克也 氏に話を伺った。

IT業界のニーズに応えられる人材を育てる授業を実現するために

情報ビジネス、ファッション、製菓など幅広い専門学校を展開し、手に職をつけ、社会で活躍する人材の育成を図る学校法人 山本学園。そのなかで、IT業界で働きたいという意欲を持った学生に学びの場を提供しているのが、山本学園情報文化専門学校(専門課程)だ。

「情報ライセンス(プログラミング)コース」「CGデザインコース」「ITビジネス(オペレーション)コース」といった3つのコースを用意し、そのうちプログラマーやSEを目指す情報ライセンスコースでは、2022年度からヤマハのネットワークカリキュラムを採用しているという。YCNE Basic★に対応した授業用テキスト「ネットワーク入門・構築の教科書」や、実習用機材の提供を受け、YCNE Basic★の資格取得を視野に入れた実習授業をスタートさせた。同校の副校長を務める天野 孝康 氏は、ネットワークカリキュラム導入の背景をこう語る。

「昨今ではあらゆる業種でIT人材が求められていますが、企業が必要とするのは即戦力で、ある程度の実力が問われます。そこで本校では、実機を使った実践的な授業や、実力を測る指標となる資格取得に力を入れています」(天野氏)

もともと目標として設けていたネットワークに特化した資格が2022年の6月に廃止となり、代わりの資格を探していたところ、ヤマハのYCNEを知ったという。

副校長

副校長 天野 孝康 氏

教員

教員 西手 克也 氏

「YCNE Basic★はヤマハのネットワーク機器に特化した認定資格ではなく、ネットワークの基礎から学べる内容になっているため、まさに探し求めていた資格でした。また、試験の方法がコンピューター上で実施するCBT(Computer Based Testing)形式で、学生でも受験しやすいことも、導入を決めた大きな要因です。そして、ヤマハのネットワークカリキュラムは同校の学習内容に合っていたこと、ヤマハから実習用機材を提供してもらえることが大きな魅力でした」(天野氏)

こうして2021年の秋にヤマハのネットワークカリキュラム導入を決定した同校では、講師・実習教室の手配や時間割作成といった準備に着手した。ネットワークの授業を受け持つ西手 克也 氏は授業内容について、次のように説明する。

「実践的な授業にしたいという思いのもと、授業の準備を進めました。『ネットワーク入門・構築の教科書』は、前半部分でネットワークの基礎、後半部分でルーターとスイッチ、無線LANアクセスポイントの設定といった内容になっていたので、後半部分に重きを置き、複数の実習課題を盛り込んだ実践的な内容にしました」(西手氏)

こうして実習中心の授業として構成されたネットワークカリキュラムは、2022年度の前期授業からスタート。人数が少ないクラスで試験的に導入され、実習の効果が確認できたことで、後期から正式採用が決定された。来年度からは2年生の前期に組み込んでいく予定だという。

「実機を触って学ぶ」理解が深まる授業へと進化

山本学園情報文化専門学校では、以前からネットワーク機器を用いた実習授業を行っていたが、従来の機材ではサイズも大きく、セッティングに時間と手間がかかっていたほか、十分な台数を揃えられなかったという。ヤマハのネットワークカリキュラムを採用し、ルーター、スイッチ、無線LANアクセスポイントといった実習用の機材が複数台提供されたことで、同校におけるネットワークの授業は実践的なスキルを効率的に修得できる内容へと進化を遂げた。

西手氏は、これまで行ってきた授業との違いについて次のように語る。
「以前は実習用の機材が少なかったこともあり、学生は機器が置かれた場所と自席を行き来して、機器の操作とPCの確認を行う必要がありました。そのため時間のロスも多く、予定していた時間に終わらないという課題がありました。ヤマハの実習用機材は非常にコンパクトで扱いやすく、ある程度まとまった台数を提供いただけたので、グループごとに機器を配置できるようになりました。それによって1コマ(1時間半)のなかでやりきれる実習課題を作りやすくなったように感じます。また、目の前に機器を置いて実習ができるので、学生からも非常にわかりやすいという声があがっています」(西手氏)

ヤマハから支給された実習用のルーター

ヤマハから支給された実習用のルーター

PCと実機を使って実習に取り組む様子

PCと実機を使って実習に取り組む様子

授業は4~5名ほどのグループで実習を進め、必要に応じて講師が指導する、グループワーク形式で行われている

授業は4~5名ほどのグループで実習を進め、必要に応じて講師が指導する、グループワーク形式で行われている

実際にヤマハのネットワークカリキュラムを採用した実習授業を受講している竹内友哉さんと小林晴太郎さんは授業内容を次にように評価する。

「率直な感想として”世界が変わった”と感じています。テキストやパソコンの画面だけで学んでいるときは、正直ネットワークに苦手意識を持っていましたが、機材に触れながら学ぶことで少しずつ理解できるようになりました。卒業後はITサービスを提供する側に立つことを考えていますが、いまから実機に触れる経験を積めることは、将来にも役立つスキルを身につけられることに繋がると思います」(竹内さん)

竹内さん

竹内友哉さん

「資格取得に向けて学んでいくなかで、ネットワーク分野の知識が求められることが多く、独学や机上の学習に限界を感じていました。ネットワークのような専門的な分野を、実際に手を動かしながら学べるのは非常にありがたいと思います。私は社内SEを目指しているので、実習授業を通して会社全体のネットワークインフラを整備できるエンジニアとしての土台を築いていきたいと考えています」(小林さん)

小林さん

小林晴太郎さん

このように、ヤマハのネットワークカリキュラムを採用した実習授業は、学生から高い評価を得ている。西手氏も現状の授業内容に手応えを感じており、今後はより実践的な実習課題を増やしていきたいと力を込める。天野氏は、学園内のカリキュラム展開について、次のように語る。

「当然ながら一般企業においてもネットワークとインターネット環境の構築運用は不可欠なもので、ネットワークのスキルを持っていることは就職先の幅が広がります。今後は他のコースにも基本的な部分から取り入れていくことはもちろん、他の学科や高等課程など学園全体の導入も視野に入れて模索しているところです」(天野氏)

実務で活かせる技術を身に付けた人材を創出し、社会全体への貢献を目指していく

ヤマハのネットワークカリキュラム導入をフックに、企業や社会に価値を提供できる人材の育成を加速させている山本学園情報文化専門学校。天野氏は、学びを通じた社会貢献を目指していくなかで、今回の取り組みから得たものは多いと語る。

「コンピューターやネットワークのシステムというのは対処療法的なところがあり、実際の現場では試行錯誤して解決を図ることもめずらしくありません。そういった場面で適切に対処できる人材を育成していくことで、社会全体に貢献できるのではないかと考えています。そういった意味でも、今回のカリキュラム導入により、実践的な授業を実現できたことは大きな成果だととらえています」(天野氏)

実務を重視し、即戦力の輩出を目指す山本学園情報文化専門学校と、ネットワークスキルを図る指標となるYCNEの展開や、カリキュラム支援により実践的な学びの場を創出するヤマハ。両者の連携によるIT人材育成の取り組みには、今後も注視していく必要がありそうだ。

2022年12月6日「TECH+」にタイアップ掲載した記事を再構成したものです。

(2023年1月23日掲載)