(最終更新日: 2024/12/12)
「IPv6」とは、IP(Internet Protocol:ネットワークに接続した端末がデータを相手に送るための規約) のバージョン6です。
IPが送信元や宛先を特定するために使う番号を「IPアドレス」といいます。ネットワークでは、宛先のIPアドレスを指定してデータを送信することで、端末間の通信を実現します。その役割から、IPアドレスはネットワーク上の住所ということができます。
現在は、IPのバージョン4「IPv4」が、インターネットで広く利用されています。インターネットの普及によって、IPv4のIPアドレスが枯渇するおそれが出てきたため、IPv6が開発されました。近年、スマートフォンを代表とする携帯端末や、IoTの広がりによってインターネットにつながる機器が爆発的に増えています。このような状況において、すでにIPv4のIPアドレスが枯渇した地域も現れてきており、IPv6への関心が高まっています。
「IPv4」「IPv6」と聞いたとき、他のバージョンの存在が気になりませんか?
実は、IPには、バージョン0からバージョン9まであるんです。
バージョン0~3は、バージョン4を開発している途中に付与されたバージョンです。
バージョン5、およびバージョン7~9は実験用のプロトコルに付与されたバージョンです。
したがって、一般的に広く使われているのは、バージョン4とバージョン6の2つだけです。
IPv4とIPv6には、どのような違いがあるのでしょうか。それでは、IPv6が誕生するきっかけとなったIPアドレスの数から見ていきましょう。
IPアドレスは、端末を特定する目的で使用するため、1台1台に異なるアドレスが付与されます。
IPアドレスの数は、IPアドレスの長さ(ビット長(*1))で決まります。IPアドレスの数に関して、IPv4とIPv6とで以下のような違いがあります。
IPアドレスの長さ | IPアドレスの総数 | IPアドレスの在庫 | |
---|---|---|---|
IPv4 | 32ビット長 | 2の32乗(約43億) | 枯渇するおそれがある(*2) |
IPv6 | 128ビット長 | 2の128乗(約340兆×1兆×1兆) | 事実上無限 |
(*1) 数を2進数で表したときの桁数を「ビット長」といいます。たとえば「8ビット長の数」は、8桁の2進数で表される数(例:10101010) のことです。
(*2) アジア太平洋地域でのIPv4アドレスは、在庫がなくなりつつあります。詳しくはこちらをご覧ください。
IPアドレスは、2進数で表現できます。しかし、0と1が何十個もならんだ数は、なかなか覚えにくいものです。
そのため、IPアドレスには表記ルールが存在します。IPv4とIPv6それぞれの表記を見ていきましょう。
8ビットごとに "." で区切り、それぞれを10進数(0~255)で表します。
(例) 192.0.2.100 |
16ビットごとに ":" で区切り、それぞれを16進数(0000~ffff)で表します。
(例) 2001:0db8:0000:0123:4567:89ab:cdef:ffff |
1つの ":" で区切られたフィールドが "0" で始まる場合、先頭から連続する "0" は省略できます。
(例) 2001:0db8:0111:1111:0001:0001:0001:0001 → 2001:db8:111:1111:1:1:1:1 |
すべて0のフィールドが連続する箇所は、 "::" として省略できます。
ただし、省略できるのは1箇所だけです。
(例) 2001:0db8:0000:0000:0000:0000:0001 → 2001:db8::1 (例) 2001:0db8:0000:0000:0001:0000:0000:0001 → 2001:db8::1:0:0:1 |
最後に、IPで使われている主なインターネット接続方式を見ていきます。
IPv4とIPv6では、単に接続する方法が違うというだけでなく、通信速度にも違いが出てくることに注目してください。
以降、NTTのフレッツ網を使用する前提で説明します。
主なインターネット接続方式として、「PPPoE」と「IPoE」があります。これら2つの接続方式について紹介します。
IPv4では、PPPoEだけを利用できます。一方、IPv6では、PPPoEとIPoEの両方を利用できます。
PPPoE(Point-to-Point Protocol over Ethernet)は、PPP(Point-to-Point Protocol)という規約をLANの規格であるイーサネットに適用したものです。
PPPは、もともと電話回線などを使用したインターネット接続で利用されていた規約であり、ユーザー認証やIPアドレスの付与などの機能があります。インターネットに接続するユーザーは、プロバイダーと契約したときに通知されたユーザーIDとパスワードを使って、PPPの認証を行います。
PPPoEを使用する場合、ユーザーは、網終端装置を経てインターネットへ接続します。プロバイダーを経由してインターネットに接続するユーザーが多い場合、網終端装置が混み合うことがあります。このような網終端装置の混雑が、インターネットが遅いと感じる原因のひとつです。
IPoE(Internet Protocol over Ethernet)は、IPをイーサネットで使用する方式です。PPPoEのようなユーザー認証はありません。
IPoEの最大の特徴は、直接インターネットへアクセスできることです。網終端装置を経由しないため、PPPoEと比較すると、理論上、通信速度は速くなります。
IPoEによるインターネット接続は、IPv6でだけ利用できます。IPv6に対応していないサーバーへはアクセスできません。しかし、現在はIPv4からIPv6へ移行する過渡期であるため、まだIPv6に対応していないサーバーも一定数存在します。この問題を解決する手段として、「IPv4 over IPv6」という技術があります。後ほど詳しく紹介します。
(*)「IPマスカレード(NAPT)」とは、IPアドレスを節約することができる技術です。IPv6では、IPアドレスの数が理論上無限であるため、IPマスカレードを使う必要がありません。ただしIPマスカレードは、セキュリティーの面でも一定の役割を果たしています。そのため、IPv6でIPマスカレードを使わない場合は、ファイアウォールを適切に設定する必要があります。
IPv4とIPv6は、互換性のない異なる技術で成り立っています。そのため、たとえばIPv4の接続を待ち受けているWebサーバーに対して、IPv6では接続できません。
ただし、WebサーバーがIPv4とIPv6の両方に対応している場合は、IPv4でもIPv6でも接続できます。このように、単一の機器にIPv4とIPv6を共存させることを「デュアルスタック」といいます。
PCがIPv4とIPv6の両方に対応している場合、IPv6に対応したサーバーに対して、IPv6を使用してアクセスします。一方で、IPv4だけに対応したサーバーは、IPv4でアクセスしますので、アクセスが遅いと感じるかもしれません。それを解決するのが、先ほど紹介した「IPv4 over IPv6」です。
「IPv4 over IPv6」とは、IPv4パケット(*)をIPv6で包んで送信する技術です。送信するデータをIPv6で包むことで、IPoE方式のインターネット接続を利用できるようになります。IPv4 over IPv6を利用した場合、VNEとよばれる回線接続業者が、包んでいたIPv6の情報を外し、IPv4パケットとしてサーバーに転送します。この技術を使えば、IPv4だけに対応したサーバーへも、高速な通信が期待できるIPoE方式で接続できます。
IPv6対応サーバーにはIPv6で接続し、IPv4対応サーバーにはIPv4 over IPv6で接続する技術は、「MAP-E (Mapping of Address and Port Encapsulation)」、「DS-Lite (Dual-Stack Lite)」などがあります。
(*) IPを用いて送信するデータを「パケット」といいます。
IPv4 over IPv6
長年利用されてきたIPv4を捨てて、いきなりIPv6に移行することはできません。
IPv4からIPv6へ移行する過渡期においては、IPv4を利用するサーバーへの接続を維持しつつ、IPv6にも対応していく方法が求められます。
この章では、あなたの目的に合わせて、オススメの情報をピックアップしてご紹介します。
◆IPv6について、より詳しく知りたい:
あなたにオススメのページ:
ヤマハルーターに搭載されている機能がIPv6に対応しているかどうかを確認できます。
※対応している製品は、対応製品一覧でご確認ください。
◆IPv6によるネットワークを構築したい:
あなたにオススメのページ:
※対応している製品は、対応製品一覧でご確認ください。
IPv6によるネットワークの構築をお考えなら、ヤマハ ネットワーク製品がオススメです。この章では、ヤマハ ネットワーク製品のメリットを2点に絞ってご紹介します。
1点目のメリットは、ルーターを設定しやすいことです。ヤマハルーター(一部機種を除く)にはWeb GUIが用意されています。そのため、ヤマハルーターに慣れていない方でも、簡単にIPv6関連の設定ができます。
では、どんな感じか見てみましょう。下の画面は、RTX1300のWeb GUIのサンプルです。
ヤマハルーターのWeb GUIは、対話式で段階を踏んで設定できるのが特長です。
それでも、もし、設定に迷っても安心です。
ヤマハのホームページでは、ネットワーク機器、ネットワーク構成など、さまざまな利用シーンに合わせた設定例(Web GUIやCLIの設定手順)を提供しています。
2点目のメリットは、ネットボランチDNSサービスが、IPv6に対応していることです。IPoEを利用した拠点間VPN接続にご利用いただくことで、より高速な拠点間接続を実現します。
ネットボランチDNSサービスについては、こちらをご覧ください。
ネットボランチDNSサービスは、本サービスに対応したルーターにて、無料(*)、無保証の条件でご利用いただけます。ご利用にあたっては、必ず 利用規約をご確認ください。なお、予告なくサービスを停止する場合がありますので、ご注意ください。
(*)プロバイダーとの契約内容によっては、別途、通信料が必要です。
IPv6に対応しているヤマハ ネットワーク製品は、以下のとおりです。詳細な情報を知りたい場合は、各製品をクリックしてください。
製品 | Web GUI 対応 | インターネット接続方式 | IPv6 VPN接続方式 |
IPv6 ネットボランチDNSサービス |
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IPv6 PPPoE | IPv6 IPoE | ||||
ギガアクセスVPNルーター RTX5000 |
― |
○ |
○ |
IPsec |
○ |
10ギガアクセスVPNルーター RTX3510 |
― |
○ |
○ |
IPsec |
○ |
ギガアクセスVPNルーター RTX3500 |
― |
○ |
○ |
IPsec |
○ |
10ギガアクセスVPNルーター RTX1300 |
○(*) |
○ |
○ |
IPsec |
○ |
ギガアクセスVPNルーター RTX1220 |
○(*) |
○ |
○ |
IPsec |
○ |
ギガアクセスVPNルーター RTX830 |
○(*) |
○ |
○ |
IPsec |
○ |
LTEアクセスVoIPルーター NVR700W |
○(*) |
○ |
○ |
IPsec |
○ |
ギガアクセスVoIPルーター NVR510 |
○(*) |
○ |
○ |
IPIP |
○ |
ブロードバンドVoIPルーター NVR500 |
○(*) |
○ |
○ |
IPIP |
― |
UTMアプライアンス UTX200 |
○ |
― |
○ |
IPIP |
― |
UTMアプライアンス UTX100 |
○ |
― |
○ |
IPIP |
― |
ファイアウォール FWX120 |
○(*) |
○ |
○ |
IPsec |
― |
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