ルーティングとは

(最終更新日: 2018/10/18)

ルーティングとは?

ルーティングとは、異なるネットワークにパケットを送信するときに最適な配達経路を決めることです。経路選択、経路制御とも呼ばれます。ネットワークのなかで、最も大切な機能の一つです。

ルーティングを担っているのは、OSI参照モデルのネットワーク層(第3層)の中継機器です。代表的な中継機器として、ルーターL3スイッチ(以降は、まとめてルーターと表現します)があります。これらの中継機器がネットワーク間で道案内をしてくれるため、宛先の通信機器までパケットを届けることができます。

ルーティングとは?:ネットワークを中継するルーターのイメージ

ルーティングのしくみ

ルーターは、ルーティングテーブルと呼ばれる情報を持っています。そのルーティングテーブルには、パケットの宛先と次の転送先が記されています。ルーターは、受信したパケットの宛先アドレスを見て、ルーティングテーブルから転送を任せる通信機器のIPアドレスを導き出します。

ルーティングテーブル

では、早速、ヤマハルーターのルーティングテーブルを見てみましょう。ルーティングテーブルは、こちらです。

ルーティングとは?:ルーティングテーブルのイメージ

ルーティングテーブルの項目には、宛先ネットワーク、ゲートウェイ、インタフェース、種別、付加情報があります。各項目の概要は以下のとおりです。

  • 宛先ネットワーク
    パケットの宛先となるネットワークです。
  • ゲートウェイ
    パケットを次に転送する先です。
  • インタフェース
    パケットを転送するルーター自身のインタフェースです。
  • 種別
    ルーティングの種類です。たとえば、静的ルーティングの場合は static、動的ルーティングのRIPの場合は RIP、ルーター自身が管轄するネットワークの場合は implicit と表示します。ルーティングの種類は、後述します
  • 付加情報
    ルーティングの種類ごとに使用する情報です。

このルーティングテーブルで、ルーティングの動作を考えてみましょう。もし、このルーティングテーブルを持っているルーターが 192.168.200.100 宛てのパケットを受信した場合、どのように動作するでしょうか?

ルーターは、まず、宛先アドレスにマッチする宛先ネットワークがルーティングテーブルに設定されているかを確認します。宛先の 192.168.200.100 は、192.168.200.0/24 のネットワークですので、この経路設定を参照します。ゲートウェイが 192.168.200.254、インタフェースがLAN1になっていますね。つまり、ルーターは受信したパケットをLAN1につながっている 192.168.200.254 のゲートウェイ(ルーター)に転送すればよいことになります。

ルーティングとは?:ルーティングテーブルのイメージ

ルーティングのルール

ルーティングテーブルの見方が少しわかったところで、ルーティングの大切なルールを2つ紹介します。

まずは、以下のルーティングテーブルを持っているルーターが、172.16.0.2 宛てのパケットを受信した場合、どのゲートウェイに転送すればよいか考えてみましょう。

ルーティングとは?:ルーティングテーブルのイメージ

宛先の 172.16.0.2 は、ルーティングテーブルの宛先ネットワークの 172.16.0.0/16 と 172.16.0.0/24 の両方にマッチしています。このままでは、192.168.100.253 と 192.168.100.254 のどちらのゲートウェイに転送すればよいか、迷ってしまいます。

そこで、1つ目のルールが登場します。その名は、ロンゲストマッチの法則です。この法則は、「ルーティングテーブルに設定された経路のうち、最も長くネットマスクと一致した方を優先する」というものです。

上の例に戻ってみましょう。宛先ネットワークの 172.16.0.0/16 はネットマスクが16、172.16.0.0/24 はネットマスクが24です。ロンゲストマッチの法則に従えば、最も長くネットマスクと一致した方を優先するので 172.16.0.0/24 の経路設定を採用することになります。つまり、「172.16.0.2 宛てのパケットは、192.168.100.254 のゲートウェイに転送する」ルールで動作します。

ルーティングとは?:ルーティングテーブルのイメージ

次に2つ目のルールを紹介します。では、以下のルーティングテーブルを持っているルーターが、172.16.0.2 宛てのパケットを受信した場合、どのゲートウェイに転送すればよいか考えてみましょう。

ルーティングとは?:ルーティングテーブルのイメージ

ルーティングテーブルの宛先ネットワークに、172.16.0.2 のネットワークはありませんね。宛先不明のパケットを、ルーターはどうしたらよいでしょうか?

ここで2つ目のルールが登場します。2つ目のルールは、「ルーティングテーブルにない宛先のパケットは破棄する」です。つまり、この例では、宛先がないため「転送しない」ルールで動作します。

デフォルトルート、デフォルトゲートウェイ

ルーティングのルールで説明したとおり、ルーティングテーブルにない宛先のパケットは破棄されます。普段、自宅や会社のPCからインターネットのサイトを閲覧できるのは、サイトまでの経路がさまざまなルーターのルーティングテーブルに登録されているからです。では、自宅や会社のルーターで、インターネットへの経路設定を見てみましょう。ルーターには、インターネットの全ネットワークへの経路設定が事細かに設定されているのでしょうか?

ルーターのルーティングテーブルは、こちらです。

ルーティングとは?:ルーティングテーブルのイメージ

意外とシンプルですね。これだけの設定で、なぜ自宅や会社からインターネットのさまざまなサイトにアクセスできるのでしょうか?

一番上の設定を見てください。宛先ネットワークが default と書かれています。これは、ルーター自身が知らないネットワークを宛先にする場合の経路設定です。このルーター自身が知らない宛先ネットワークのことをデフォルトルートと呼びます。そして、デフォルトルートへの転送を任せるゲートウェイをデフォルトゲートウェイと呼びます。この例では、デフォルトゲートウェイをISP(インターネットサービスプロバイダー)のゲートウェイにしています。一般的に自宅や会社からインターネットに接続する場合、このように経路設定します。信頼できる物知りなルーターを頼ることによって、無事にインターネットまでパケットを転送できるのです。

ルーティングとは?:デフォルトゲートウェイのイメージ

ちなみに、デフォルトルートをIPアドレスで表現すると 0.0.0.0/0 になります。ネットマスクは0ですので、ロンゲストマッチの法則に従うと優先度が一番低くなります。

ルーティングの種類

ここまでは、ルーティングのイメージがわくように、シンプルなネットワーク構成で説明してきました。結果として、ルーティングテーブルもシンプルなものでした。しかし、実際のネットワークはこんなシンプルなものばかりではありません。複数のネットワークがつらなった構成では、より多くの経路設定が必要になってきます。世の中では、ネットワークの規模や特徴に合わせてルーティングテーブルの作り方がいくつか考案されています。本章では、それらの概要を紹介します。

静的ルーティング、動的ルーティング

前章で、ルーティングするためにはルーティングテーブルが必要なことを説明しました。では、ルーティングテーブルは、どのように作られるのでしょうか?

ルーティングテーブルを作る方法は、大きく2つに分けることができます。1つ目は、人手によってあらかじめルーターに作成しておく方法です。2つ目は、ルーター同士が通信して取得した結果をもとにして作成する方法です。

前者を「静的(スタティック)ルーティング」、後者を「動的(ダイナミック)ルーティング」と言います。

まずは、ヤマハルーターで静的ルーティングの設定を見てみましょう。ルーターAに宛先ネットワークが 192.168.103.0/24、ゲートウェイが 192.168.101.254 の経路を設定することにします。

ルーティングとは?:静的経路のイメージ

ヤマハルーターのコマンドでは、以下のように設定します。

ルーティングとは?:静的経路の設定イメージ

192.168.103.0/24 と通信するためには、中継してくれるすべてのルーターに 宛先(192.168.103.0/24)までの経路と送信元(192.168.100.0/24)までの経路が設定されていなければなりません。

このように、あらかじめ人がコマンド等で経路設定をしておく方法が、静的ルーティングです。人手によって設定されたまま経路設定は変わらない、ということで「静的」と呼ばれます。もしネットワークの構成が変わった場合は、人手で経路設定をし直す必要があります。

次に、ヤマハルーターで動的ルーティングの設定を見てみましょう。ここでは、動的ルーティングの一つであるRIPを使用することにします。ヤマハルーターのコマンドでは、以下のように設定します。中継してくれるルーターにも同様の設定が必要です。

ルーティングとは?:動的経路の設定イメージ

ここで注意したいのは、この設定は経路自体の設定ではないということです。ルーターが動的ルーティングを使うという設定しかしていません。静的ルーティングでは、人があらかじめ経路設定したのに対して、動的ルーティングでは、ルーター同士が通信してお互いの経路情報を渡しあうことにより、ルーティングテーブルを更新します。下は、ルーターAのルーティングテーブルです。動的ルーティングによって、自動で経路設定が追加されました。

ルーティングとは?:ルーティングテーブルのイメージ

ネットワークの状態により自動で経路設定が変わる、ということで「動的」と呼ばれます。また、ルーティングテーブルを更新するために、ルーター同士で通信するルールのことを「ルーティングプロトコル」と言います。

静的ルーティングと動的ルーティングの特徴は、以下のとおりです。

静的ルーティング 動的ルーティング
メリット ・少ない知識でも設定できる
・通信帯域やルーターに負荷が少ない
・ネットワーク構成が変わっても経路設定を変更しなくてよい
・経路に障害が発生した場合、代替の経路を利用して通信を継続できる
デメリット ・ネットワーク構成が変わった場合、すべてのルーターの経路設定を見直す必要がある
・一般的に、経路に障害が発生した場合、代替の経路を利用して通信を継続できない。
・ルーティングプロトコルの知識が必要である
・通信帯域やルーターへ負荷がかかる
・誤った経路の情報が流されると広い範囲にわたって障害が発生する

動的ルーティングのプロトコルとして代表的なものには、RIP、OSPF、BGPがあります。概要は以下のとおりです。

  • RIP(Routing Information Protocol)
    • 宛先までに経由するルーターの数(ホップ数)をもとにして、最小のホップ数の経路を選択する方式である。
    • OSPFへの移行が進んでいるが、現在でも企業内の小規模なネットワークで利用されている。
  • OSPF(Open Shortest Path First)
    • RIPに代わるルーティングプロトコルとして開発された。
    • 宛先までの帯域幅など(コスト)をもとにして、最小のコストの経路を選択する方式である。
    • 多くの企業内ネットワークで利用されている。
  • BGP(Border Gateway Protocol)
    • AS間の経路設定を交換するためのルーティングプロトコルとして開発された。
    • インターネットのAS間での経路設定で利用されている。

LANやWANでのルーティング

ルーティングの種類として、静的ルーティングや動的ルーティング(主に3種類)があると説明しました。以下に、ネットワークごとに一般的に使われるルーティングの種類をまとめました。

ネットワークの種類 使用されるルーティングの種類
LAN 小規模 静的ルーティング、動的ルーティング(RIP
中規模以上 動的ルーティング(OSPF
WAN AS内 動的ルーティング(RIPOSPF
AS間 動的ルーティング(BGP

ASとは、Autonomous Systemの略です。自律システムとも呼ばれます。これは、同一の管理下にあるネットワークの集合体のことを言います。一般的には、1社のISPが管理しているネットワークの集まりだと考えてください。

ルーティングとは?:ASのイメージ

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ルーター・ファイアウォール

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(IPv4)
(IPv6)
動的(IPv4) 動的(IPv6)
RIP
(v1, v2)
OSPF BGP4 RIPng OSPFv3
ギガアクセスVPNルーター
RTX5000

RTX5000

ギガアクセスVPNルーター
RTX3500

RTX3500

ギガアクセスVPNルーター
RTX1210

RTX1210

ギガアクセスVPNルーター
RTX830

RTX830

ギガアクセスVPNルーター
RTX810

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LTEアクセスVoIPルーター
NVR700W

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ブロードバンドVoIPルーター
NVR500

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ファイアウォール
FWX120

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L3スイッチ

製品 静的
(IPv4)
(IPv6)
動的(IPv4) 動的(IPv6)
RIP
(v1, v2)
OSPF BGP4 RIPng OSPFv3
スタンダードL3スイッチ
SWX3200-52GT

SWX3200-52GT

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スタンダードL3スイッチ
SWX3200-28GT

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ライトL3スイッチ
SWX3100-10G

SWX3100-10G

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