株式会社フライトシステムコンサルティング

ヤマハAPで無線LAN環境を構築 高密度での安定性が決め手に

50人規模のオフィスで日常的に100台超のモバイル端末が稼働する高密度環境において、安定した無線接続を確保するためにヤマハの無線LAN製品を導入した。安定性と価格のバランスが決め手となった。

スマートデバイスでクレジットカード決済ができるモバイル決済システム「Payment Meister(ペイメント・マイスター)」を開発・販売するフライトシステムコンサルティングは2014年、東京・渋谷区の本社オフィスの無線LAN環境を刷新した。
Payment Meisterは、iPhoneを使ってクレジット決済ができる国内初のシステムとして2010年9月から販売を開始した(現在はiPad、Windows 8にも対応)。各種クレジットカード/銀行カードに対応し、iPhone/iPadと連携するリーダー端末「Incredist(インクレディスト)」も開発。スマートデバイスさえあればどこでも決済が可能になるソリューションとして、数百~数千店舗を展開する大手流通小売業をメインに顧客を増やしてきた。大規模導入の一例として、ソフトバンクショップで利用されている。

フライトシステムコンサルティングは、iPhone/iPad、Windows 8タブレットでクレジット決済が行える「Payment Meister」を開発・販売する。各種のクレジットカード/銀行カードに対応したリーダー端末「Incredist」(右)も独自に開発している

フライトシステムコンサルティングは、iPhone/iPad、Windows 8タブレットでクレジット決済が行える「Payment Meister」を開発・販売する。各種のクレジットカード/銀行カードに対応したリーダー端末「Incredist」(右)も独自に開発している

導入の目的と効果

2台のWLX302でオフィス内のどこでもネットワーク接続できる環境を構築。常時100台以上のモバイル端末を利活用する高密度環境において、安定的に無線通信を運用している。

1人平均3台のモバイルを活用

情報システムの受託開発、スマートデバイス向けアプリ開発を生業とする同社では、ほぼすべての社員がノートPCのほかにiPhone等のスマートフォンを持ち歩き、複数のモバイル端末を常に利用している。また、商品開発・検証に用いるiPad、Windows 8タブレットも数十台ある。代表取締役社長の片山圭一朗氏は「無線LANにアクセスする端末は1人平均3台くらい。約50人が働くオフィスに150台ほどのモバイル端末があり、日常的に100台以上が動いている」と話す。
多数のモバイル端末が密集する、いわゆる「高密度」な環境にあるが、これを2台の無線LANアクセスポイント(無線AP)で収容している。
使っているのは、ヤマハ製のIEEE802.11n対応無線AP「WLX302」だ。5GHz帯/2.4GHz帯のデュアルバンド対応で、小規模オフィス・店舗向けの製品ながら、1台で最大100接続をサポートする性能を備える(5GHz帯/2.4GHz帯それぞれ最大50接続)。
このWLX302は、無線LANコントローラ機能を内蔵しており、最大16台を1つのグループとして管理できる特徴も持つ。1台の「コントローラAP」が他の無線APに共通設定を配信してグループ全体を制御できるのだ。2台のWLX302を1つの共通SSIDで運用し、社員はアクセス状態を何ら意識することなく、トラフィックを振り分けている。「導入後約1年が経つがトラブルはまったくない」という。

「お客様にも推奨できるAP」

オフィスの無線化を検討する企業が増えているが、現在は1人が使用するモバイル端末の台数が増えたことで、無線APを選ぶ際には「同時接続台数」が重要になってきている。片山社長もWLX302について、まさにこの点を評価しているわけだが、選定の決め手は実はもう1つあった。
「我々の商品であるPayment Meisterと無線LANは切っても切れない関係にある。お客様に安心してお薦めできる無線APは何か、という観点でヤマハ製を選んだ」と話す。自社商品の顧客企業が無線LANを導入する際に「推奨APとしてWLX302を紹介したい」という。
モバイル決済システムを安定稼働させるには、当然、ネットワーク接続の安定性が肝になる。
Payment Meisterを利用する端末は、三菱UFJニコスが運営する決済センターと通信を行うが、3G/LTEか無線LANのどちらかを使ってアクセスすることになる。店舗・施設内では無線LANを利用するケースが大半だが、この際、「コンシューマ向けの廉価な無線APを使っているために通信障害が起こり、トラブルになるケースが後を絶たない」と片山社長はこぼす。
そこで、Payment Meisterのユーザーに対して、安定性に優れた企業向け無線APを推奨機器として推薦することにしたのだ。自社内で使うだけでなく、「お客様に薦めるに足る製品か」という視点で、各メーカーの製品を比較検討。WLX302を社内に導入したのは、その最終評価も兼ねてのことだという。

価格と性能のバランスを評価

  • フライトシステムコンサルティング社内に設置されているヤマハ製無線AP「WLX302
  • フライトシステムコンサルティング社内に設置されているヤマハ製無線AP「WLX302

フライトシステムコンサルティング社内に設置されているヤマハ製無線AP「WLX302」

製品選定で決め手となったのは、障害が発生した場合に迅速で的確なサポートを受けられることと、価格と性能のバランスの2つだ。
Payment Meisterのユーザーは数百・数千店舗を展開する大企業が中心で、無線APの導入規模も非常に大きくなる。そのため、性能が良いからといって高価格なものを推奨したところで通用しない。価格が5000円違っても、1000店舗なら購入総額は500万円もの差になるのだ。WLX302は「海外メーカーに比べてリーズナブルで安定性も高かった」。
また片山社長は、設置・施工、保守を行うSIerとの協業も重視する。無線APの性能は充分でも、設置場所が悪かったり、適切な設定がなされていないために通信障害が頻発する例も少なくないからだ。スマートデバイスを業務で活用する企業は増えているが、それを支える無線ネットワークの設計・構築技術やノウハウは、ユーザー企業もSIerもまだ充分に持ちあわせていないのが現状だ。
そこで、無線APの設置や電波の調整・設定等が適正に行えて、かつ全国規模の保守体制を持つSIerを"推奨設置ベンダー"として提案する考え。決済という重要な役割を担うPayment Meisterを安心して使ってもらうために、「ヤマハの無線APと施工業者も含めた"推奨モデル"を作って提案していきたい」と片山社長は話している。

導入会社様

フライトシステムコンサルティング

株式会社フライトシステムコンサルティング

場所 東京都渋谷区恵比寿4-6-1
設立 1988年4月から事業を展開、2013年6月5日に会社分割により新たに設立
URL http://www.flight.co.jp/

情報システム/アプリケーションの設計・開発、スマートデバイス向けクレジット決済システム「Payment Meister」の販売など

フライトシステムコンサルティング代表取締役社長の片山圭一朗氏

代表取締役社長の片山圭一朗氏。CTOも兼務し、顧客企業で起きたネットワーク障害時の調査・復旧作業に関わることも多いという

出典:株式会社リックテレコム「月刊テレコミュニケーション」2015年2月号

(2015年3月2日)


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