2013年9月13日から4日間、「PyCon APAC 2013」が東京で開催されました。PyCon(Python Conference)は、オープンソースで開発されているプログラミング言語「Python」に関する国際カンファレンスで、世界30カ国以上で開催されています。日本でも2011年から開催されており、2012年のPyCon JPでは約480名が参加。そして2013年はPyCon APAC 2013として、アジア地区を代表するより国際的なイベントとして実行されました。会場となった工学院大学新宿キャンパスは、すでにギガリンクの高速WAN回線が設置されており、校内はグローバルアドレスで運用、また学生向けの無縁LAN環境も用意されていました。しかし500名超の参加者が予想される大規模カンファレンスの用途は想定されておらず、既存のネットワーク環境をそのまま流用することは難しいと判断されたため、ヤマハが機材提供とネットワーク環境構築を担当することになりました。
カンファレンス会場は、4つのブロックから構成されていました。
つまり3フロアに7つの独立したスペースが設定され、しかも時間帯によって参加者が一斉に移動するという会場構成になっていました。このためネットワーク構築に求められる要件はまず、500名超の参加者が、それぞれ複数の接続端末を使用することを想定した大規模な無線LAN環境を構築すること。具体的には、独立した7つの会場にそれぞれアクセスポイントを設定し、参加者の移動に対応したローミングを行うことが必要でした。こうした要件をクリアするために、無線LANアクセスポイント「WLX302」を各部屋に12台設置、また各部屋に置かれた6台のギガアクセスVPNルーター「RTX1200」と1台の「RTX5000」をL2(レイヤ2)VPNで接続し、無線LAN専用のプライベート空間を構築したのです。
4日間にわたって開催されたPyCon APAC 2013は、参加者数530名、無線で接続された端末数573台におよぶ、大規模なものとなりました。ネットワーク環境にも複雑な構築要件が求められましたが、ヤマハのネットワーク機器により非常に円滑な運営が実現しました。無線LANアクセスポイント「WLX302」はすでに、RubyKaigi 2013において100台の同時接続という実績がありますが、今回も1台で87端末、12台で287端末の同時接続という安定稼働を実現しました。またギガアクセスVPNルーター「RTX1200」「RTX5000」の新機能であるL2-VPNを使ったネットワーク構築の面でも、大きな成功をおさめました。参加者からツイッターなどで寄せられた声も「とても快適に使えた」「機材提供と環境構築を同時に行ったヤマハの実力に感服!」など、高い評価をいただいています。ヤマハのネットワーク機器の実力は、PyCon APAC 2013でも証明されました。
PyCon APAC 2013運営チーム
会場担当(株式会社ベストシステムズ ソリューション技術部)
若林 伴典 様
今回ヤマハさんには、機器の提供から構築まですっかりお世話になりました。当初は大学の既設ネットワーク環境に市販のルーターなどを補完することも検討しましたが、無線の提供範囲の広さや接続端末の多さ、また会場を移動した際の使い勝手などを考えて、全面的にヤマハさんにお願いしました。今回のPyCon APAC 2013運営チームには、ネットワークに詳しい人はいなかったので助かりました。また「WLX302」で電波状況が見える化されており、管理面でも円滑な運用が実現しました。とても感謝しています。
学校法人工学院大学
情報システム部・課長
名取 勝敏 様
PyCon APAC 2013の会場として、本学を選定していただいたことに感謝しています。もともと本学の無線LAN環境は学生向けの用途であり、ここまで大規模なカンファレンスでの利用は想定していませんでした。多くの課題がありましたが、ヤマハさんの機器はそれらを見事にクリアし、また短い時間のなかで環境構築もしていただきました。ヤマハさんの機器は非常に使いやすく、また安定的な運用にも驚いています。今回のこうした経験を活かし、これから本学でもネットワーク構築のノウハウを蓄積したいと思います。
ヤマハ株式会社
SN開発統括部 第1開発部 ネットワーク機器グループ 技師補
梶 俊明
2013年5月のRubyKaigi 2013で、当社の無線LANアクセスポイント「WLX302」を使っていただきました。その実績をご覧になった方から今回の機材提供の相談があったのです。ただPyCon APAC 2013で求められた要件は非常に複雑で、機材の提供に加えて構築まで行う必要があると判断し、取り組みました。今回のPyCon APAC 2013で実感したことは、「WLX302」が大規模カンファレンスで安定稼働する能力を確実に持っていること。そしてL2VPNを使ったネットワーク構築も可能であること、などです。ヤマハにとっても大きな成果だったと思います。
カンファレンス会場は、4つのブロックから構成。
3フロアに7つの独立したスペースが設定され、しかも時間帯によって参加者が一斉に移動するという会場構成になっていた。
LAN1: SWX2200-8PoE, WLX302*3
LAN2: 校内ネットワーク(グローバルアドレス)
LAN3: 中継用ビデオカメラ
LAN1: RTX1200(WLX302の集中管理), WLX302, 食堂へ延長
LAN2: 中継用ビデオカメラ
LAN3: 校内ネットワーク(グローバルアドレス)→L2VPNの終端とインターネット抜け
LAN1: WLX302
LAN2: 校内ネットワーク(グローバルアドレス)→L2VPN接続とカメラのインターネット抜け
LAN3: 中継用ビデオカメラ
LAN1: WLX302
LAN2: 校内ネットワーク(グローバルアドレス)
(2013年12月25日掲載)
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