帝京大学医学部附属溝口病院

医療系映像統合システムにヤマハ10Gスイッチ採用。
複数の大容量医療動画像を4Kリアルタイム高速伝送。

導入の背景

近年、患者の身体への負担が少ない治療(低侵襲治療)が増加し、X線透視を行う検査室の運用形態も従来のX線検査主体ではなく、内視鏡装置や超音波診断装置など複数の医療機器を活用し総合的に診療する形態へと大きく変化してきた。そのため複数の医療機器から出力される医療情報(検査中動画像など)を表示させるために、検査室内には多数のディスプレイが設置されることが一般的となっている。
この医療情報を表示する際に最も重要視する点は、高画質な動画像をディスプレイ表示する際のリアルタイム性である。治療には非常に細いステントやカテーテルなどを使用するが、その動画像に大きな表示遅延が発生すると患者の生命に危険を及ぼすことになるためである。
当院では2023年度に旧型のX線透視装置から、最新機能を搭載したX線透視装置への入替を決定した。同時に、低侵襲治療従事者からの強い要望であった、複数の医療情報を一元化させて1つのディスプレイに集約しリアルタイム表示ができないかも検討することとなった。

図1:システム構成概要図

図1:システム構成概要図

選定の理由

安心・安定動作が求められる医療業界では、映像を遅延なく高画質で表示する映像統合システムの導入は進み始めているが非常に高額であった。今回、導入コストの削減に加え、医療従事者がストレスなく直感的に運用できる映像統合システムを考えた時、将来的な拡張も柔軟に対応できるSDVoE(Software Defined Video-over-Ethernet)というIPを使用した規格が最適と判断した。当院でこの度採用した映像統合システムは、医療市場向けに各種システムの導入実績が豊富なMEDIAEDGE社製の映像伝送装置と、高速・大容量通信に対応した10ギガビット/マルチギガビット対応のヤマハ製インテリジェントL2 PoEスイッチ「SWX2322P-16MT」が組み合わされている。
このシステムに「SWX2322P-16MT」を選定した理由は、SDVoE規格対応でMEDIAEDGE社製品との動作確認が取れていること。
ネットワーク設定が「SDVoE最適設定」機能を有効化するだけで済み非常に使い勝手が良いこと。
今回の映像統合システムでは外部とのネットワーク通信は実施しないものの、将来の帝京大学関連施設及び地域医療機関との連携を視野に入れた際、トリプル認証対応でセキュリティー対策も万全の機能が搭載されていること。
また、費用対効果が高いことはもちろん、国内メーカーで日本語によるサポートが受けられること。
これら総合的な評価から、大容量化が進む医療情報の受信・配信に適した製品であると感じ選定するに至った。

図2:検査室内一元化表示ディスプレイのマルチ表示画面

図2:検査室内一元化表示ディスプレイのマルチ表示画面

導入後の効果

X線透視及び映像統合システムは2023年12月からの稼働を開始した。今回のシステム導入で、1台の大型ディスプレイにその時必要とされる医療情報を簡単な操作で遅延なく切り替えマルチに表示させることが可能になった。その結果、施行医の視線移動が少なくなり、ストレスなく集中して検査・治療を行えるようになった。
稼働から既に約10か月経過したが、呼吸器内科、消化器内科をはじめ、院内各部門にて530件を超える検査・治療が行われており、当該担当医療従事スタッフからも好評を得ている。

図3:X線検査室

図3:X線検査室

図4:ラックマウントされたSWX2322P-16MT

図4:ラックマウントされたSWX2322P-16MT

ユーザーの声

今回のX線透視装置に映像統合システムを組み合わせて導入したことで、複数の医療情報を遅延なくディスプレイに一元表示するなど、当院のX線装置に携わる医療従事者の要望を実現いただくことができました。各部門からは「CT・MRI等や過去画像を確認しながら検査治療ができる」、「患者様のバイタルもリアルタイムに同一画面上で確認できる」などの声を頂いております。
現状でも医療現場のニーズに十分対応可能なシステムになっておりますが、医療現場では日々新たな要望が挙がってきております。今後もより快適な操作性の向上を進めていただき、現場ニーズへの対応を迅速に行っていただきたいと存じます。
また、将来に向けた受信・配信環境のさらなる拡張機能の開発、検査室内のケーブルレス化など、清潔かつ安全な検査・治療環境を実現するべく積極的な取り組みを切望いたします。

中央放射線部 写真左:中央放射線部 診療放射線技師 佐藤成美様
写真中:中央放射線部 診療放射線技師 課長補佐 依田昌樹様
写真右:中央放射線部 診療放射線技師 長浜新様

導入企業様

帝京大学医学部附属溝口病院

帝京大学医学部附属溝口病院様

帝京大学医学部附属溝口病院は、地域医療を最も大切にする病院をめざして一致協力して歩んできた「地域に親しまれる病院」です。
高度な医療機器と設備を兼ね備えた良質な医療を提供する病院であると共に、福祉施設とも交流するなど、ほかの医療機関と連携を密にして、より地域に根ざした医療を常に実践しています。

所在地
神奈川県川崎市高津区二子5-1-1
Webサイト
帝京大学医学部附属溝口病院

提案事業者の声

今回ヤマハの「SWX232xシリーズ」を採用しましたが、設定も簡単で費用対効果も高く、トラブルなく医療現場でご利用いただけております。今回MEDIAEDGE社と共同開発を行ったSDVoEを使用した映像統合システム「VineX」は、X線検査部門だけではなく、手術室や血管造影室といった様々な医療部門への提案を検討しております。これらの部門においては使用される医療機器も増えるため、スイッチ製品にはより多ポートのモデルや、スタック機能の増強をヤマハには期待します。また、本システムとDante規格に対応したヤマハ製IP音響システムとを組み合わせ、院内の映像・音声コミュニケーション統合システムとしての活用も視野に入れていきたいです。

富士フイルムメディカル株式会社
営業本部 MS(モダリティソリューション)事業部
事業推進部 販売支援グループ 関川 文孝 様

株式会社イノメディックス
営業本部 新規事業推進部 映像ソリューショングループ
B2B担当マネージャー 渡邉 伸行 様

富士フイルムメディカル株式会社 株式会社イノメディックス

写真左:関川様 写真右:渡邉様

(2024年12月20日掲載)


メール

ご相談・お問い合わせ