IPマルチキャスト設定例

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(最終更新日: 2023/7/12)

マルチキャストとは、1つのIPパケットを複製して、特定の複数の相手に送信することです。たとえば、音声・映像などの UDPストリームを多数の端末に配信します。配信先が複数であっても、送信元は1つのパケットを送信するだけで済むため、トラフィックの負荷を軽減できます。なお、マルチキャストを実現するためには、マルチキャストに対応した特別なネットワークが必要です。

設定例1:
IGMPとPIM-SMを利用してマルチキャストネットワークに参加する

対応機種は、RTX3000RTX1500です。

概要

PIM-SMに対応したマルチキャストネットワークに接続し、映像配信などのサービスを利用する際の設定例です。ここでは、自分のネットワークのリスナー側となっていることを前提とします。

構成図

ランデブーポイントは網内に存在し、そのアドレスは133.176.200.1であるものとする。

Point1:IPマルチキャスト機能を搭載
RTX3000、RTX1500は、IPv4マルチキャスト機能としてIGMP(IGMPv2、IGMPv3、IGMPプロキシ)とPIM-SMに対応し、ネットワークへの負荷を抑えた映像配信などが利用可能になりました。また、データの送信元を限定してPIM-SMの動作を単純化したPIM-SSMにも対応しています。

Point2:閉域網サービス内のマルチキャストサービスに対応
RTX3000、RTX1500のIPv4マルチキャスト機能は、NTTコミュニケーションズ株式会社が提供する閉域網サービス「Arcstar IP-VPN『マルチキャストVPNサービス』」において、CEルーターとして動作することを確認しています。

ルーターの設定例

ゲートウェイの設定 ip route default gateway 10.0.0.254
LAN1インターフェースの設定 ip lan1 address 192.168.100.1/24
ip lan1 igmp router
ip lan1 pim sparse on <--lan1インターフェースでPIMを動作させる
LAN2インターフェースの設定 ip lan2 address 10.0.0.1/24
ip lan2 pim sparse on <-- lan2インターフェースでPIMを動作させる
Multicast(PIM-SM)の設定 ip pim sparse rendezvous-point static 239.10.10.10 133.176.200.1
<-- ランデブーポイントは網内に用意されており、そのアドレスは133.176.200.1であるものとする。

設定例2:
VRRPとPIM-SMを連携させる

対応機種は、RTX3000RTX1500です。

概要

VRRPで2重化した場合の設定です。

構成図

ルーター(1)の設定例

LANインターフェースの設定 ip lan1 address 10.10.12.2/24
ip lan1 vrrp 1 10.10.12.254 priority=200
ip lan1 vrrp shutdown trigger 1 lan2 <-- VRRPの設定
ip lan1 pim sparse on vrrp=1 <-- lan1インターフェースでPIMを動作させ、VRRPの1番を連携させる
WANインターフェースの設定 ip lan2 address 10.20.11.1/30
ip lan2 pim sparse on <-- lan2インターフェースでPIMを動作させる
BGPの設定 bgp use on
bgp autonomous-system 65000
bgp neighbor 1 9598 10.20.11.2 hold-time=45 metric=50
bgp import filter 1 include all
bgp import 9001 static filter 1
bgp import 9001 aggregate filter 1
bgp export filter 1 include all
bgp export 9001 filter 1
bgp aggregate filter 1 static include 10.10.12.0/24
bgp aggregate 10.10.12.0/24 filter 1
Multicast(PIM-SM)の設定 ip pim sparse rendezvous-point static 239.1.1.0/24 10.254.254.241 <-- ランデブーポイントは網内に用意されており、そのアドレスは10.254.254.241であるものとする。
ip pim sparse register-checksum all <-- register-checksumの計算範囲は、ランデブーポイントの仕様に合わせて設定する。

ルーター(2)の設定例

LANインターフェースの設定 ip lan1 address 10.10.12.1/24
ip lan1 vrrp 1 10.10.12.254
ip lan1 pim sparse on vrrp=1 <-- lan1インターフェースでPIMを動作させ、VRRPの1番を連携させる
WANインターフェースの設定 ip lan2 address 10.20.11.5/30
ip lan2 pim sparse on <-- lan2インターフェースでPIMを動作させる
BGPの設定 bgp use on
bgp autonomous-system 65000
bgp neighbor 1 9598 10.20.11.6 hold-time=45 metric=100
bgp import filter 1 include all
bgp import 9001 static filter 1
bgp import 9001 aggregate filter 1
bgp export filter 1 include all
bgp export 9001 filter 1
bgp aggregate filter 1 static include 10.10.12.0/24
bgp aggregate 10.10.12.0/24 filter 1
Multicast(PIM-SM)の設定 ip pim sparse rendezvous-point static 239.1.1.0/24 10.254.254.241 <-- ランデブーポイントは網内に用意されており、そのアドレスは10.254.254.241であるものとする。
ip pim sparse register-checksum all <-- register-checksumの計算範囲は、ランデブーポイントの仕様に合わせて設定する。

ルーター(3)の設定例

ゲートウェイの設定 ip route 10.10.11.0/25 gateway 10.10.11.200
LANインターフェースの設定 ip lan1 address 10.10.11.202/25
ip lan1 vrrp 1 10.10.11.254 priority=200
ip lan1 vrrp shutdown trigger 1 lan2 <-- VRRPの設定
ip lan1 pim sparse on vrrp=1 <-- lan1インターフェースでPIMを動作させ、VRRPの1番を連携させる
WANインターフェースの設定 ip lan2 address 10.20.10.1/30
ip lan2 pim sparse on <-- lan2インターフェースでPIMを動作させる
BGPの設定 bgp use on
bgp autonomous-system 65000
bgp neighbor 1 9002 10.20.10.2 metric =50
bgp import filter 1 include all
bgp import 9002 static filter 1
bgp import 9002 aggregate filter 1
bgp export filter 1 include all
bgp export 9002 filter 1
bgp aggregate filter 1 static include 10.10.11.0/24
bgp aggregate 10.10.11.0/24 filter 1
Multicast(PIM-SM)の設定 ip pim sparse rendezvous-point static 239.1.1.0/24 10.254.254.241 <-- ランデブーポイントは網内に用意されており、そのアドレスは10.254.254.241であるものとする。
ip pim sparse register-checksum all <-- register-checksumの計算範囲は、ランデブーポイントの仕様に合わせて設定する。

ルーター(4)の設定例

ゲートウェイの設定 ip route 10.10.11.0/25 gateway 10.10.11.200
LANインターフェースの設定 ip lan1 address 10.10.11.201/25
ip lan1 vrrp 1 10.10.11.254 <-- VRRPの設定
ip lan1 pim sparse on vrrp=1 <-- lan1インターフェースでPIMを動作させ、VRRPの1番を連携させる
WANインターフェースの設定 ip lan2 address 10.20.10.5/30
ip lan2 pim sparse on <-- lan2インターフェースでPIMを動作させる
BGPの設定 bgp use on
bgp autonomous-system 65000
bgp neighbor 1 9002 10.20.10.6 metric=100
bgp import filter 1 include all
bgp import 9002 static filter 1
bgp import 9002 aggregate filter 1
bgp export filter 1 include all
bgp export 9002 filter 1
bgp aggregate filter 1 static include 10.10.11.0/24
bgp aggregate 10.10.11.0/24 filter 1
Multicast(PIM-SM)の設定 ip pim sparse rendezvous-point static 239.1.1.0/24 10.254.254.241 <-- ランデブーポイントは網内に用意されており、そのアドレスは10.254.254.241であるものとする。
ip pim sparse register-checksum all
<-- register-checksumの計算範囲は、ランデブーポイントの仕様に合わせて設定する。

ルーター(5)の設定例

ゲートウェイの設定 ip route default gateway 10.10.11.254
LANインターフェースの設定 ip lan1 address 10.10.11.1/25
ip lan1 igmp router
ip lan1 pim sparse on <--lan1インターフェースでPIMを動作させ、VRRPの1番を連携させる
WANインターフェースの設定 ip lan2 address 10.10.11.200/25
ip lan2 pim sparse on <-- lan2インターフェースでPIMを動作させる
Multicast(PIM-SM)の設定 ip pim sparse rendezvous-point static 239.1.1.0/24 10.254.254.241 <-- ランデブーポイントは網内に用意されており、そのアドレスは10.254.254.241であるものとする。
ip pim sparse register-checksum all <-- register-checksumの計算範囲は、ランデブーポイントの仕様に合わせて設定する。

設定例3:
MLDプロキシを使ってマルチキャストネットワークに参加する

対応機種は、RTX5000RTX3510RTX3500RTX3000RTX1300RTX1220RTX1210RTX1200RTX830RTX810RT107eNVR700WNVR510NVR500FWX120RTX1100RTX1000RT58iRT57iです。

概要

IPv6マルチキャストによる映像配信サービスを利用する際の設定例です。

構成図

ルーターの設定例

IPv6の設定 ipv6 prefix 1 ra-prefix@lan2::/64
ipv6 lan1 prefix ra-prefix@lan2::/64
ipv6 lan1 rtadv send 1
ipv6 lan1 mld router
ipv6 lan2 mld host

【ご注意】
本設定例は、設定の参考例を示したもので、動作を保証するものではございません。
ご利用いただく際には、十分に評価・検証を実施してください。

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