企業ネットワークのブロードバンド化を推進するヤマハルータ-

楽器や音響機器をリードするヤマハが、通信ネットワークの接続装置であるルーターの分野でも、高い評価を得ていることは一般にあまり知られていない。しかし、その実績はそれを雄弁に物語る。1号機の発売から来年で10年。SOHO、中小規模ネットワークのユーザーから支持を集め、累計販売台数は実に100万台を突破している。ヤマハのルーターの歴史や人気の理由に迫った。

通信ネットワークの変化にすばやく対応

楽器製造で世界屈指の企業として知られるヤマハには、電子楽器の製作で培った高度なデジタル信号処理技術があります。この技術を通信分野に生かせないか。そんな考えから通信デバイス事業への取り組みが始まりましたとヤマハのAV・IT事業本部通信機器開発部長(現:サウンドネットワーク事業部副事業部長)の高山明氏は語る。

こうして誕生したのが、1987年に発売したアナログ回線用モデムLSI(大規模集積回路)だった。
当初、日本ではほとんど売れなかったが、米国では月に20万個も売れるヒットになったという。

「日本では新参者として受け入れられなかったが、米国で、パソコンでFAXの送受信ができるPCFAX用に組み込むチップとして引っ張りだこになった」と高山氏。
こうして通信分野の第一歩を踏み出し、成功を収めたヤマハは89年、当時、普及が始まったばかりのISDNに対応するLSIを発売した。その後OEMでTA(ターミナルアダプター)なども開発。
そして、これらで培った通信技術を基盤に95年、リモートルータ-を発売した。

下に示したのが、通信ネットワークとヤマハルーターの変遷だ。ヤマハはこれまで通信ネットワークの進展に的確に対応して製品を出してきた。

通信ネットワークとヤマハルータ-の進化

掲載した年表は、ヤマハルーター10周年記念講演「通信ネットワーク これまでの10年、これからの10年」で使用したものです。

なかでも、第1号機となった「RT100i」(95年)、個人やSOHOのニーズを開拓した「RTA50i」(98年)、企業ネットワークのブロードバンド化に対応した「RTX1000」(02年)などは、通信ネットワークの節目で時代をリードする商品として注目を集めた。

インターネット時代の
幕開けに対応
RT100i
RT100i
1995年に発売した、ISDNリモートルーター「RT100i」。長年培ってきたISDN技術、LAN技術を結集した製品で、品質の高さはもちろん、発売当時、既存製品の約3分の1に小型化し、価格も約2分の1に抑えたことでも注目された。
※現在、生産しておりません。
ISDN回線による
常時接続に対応
RTA50i
RTA50i
自宅を仕事場にしているSOHOや、複数のパソコンをつないで「家庭内LAN」を構築する個人ユーザーの増加を見越し、1998年に発売。ISDNを経てインターネットを利用するのに必要な機能を全て盛り込んだオールインワン・ルーターとしてヒットした。
※現在、生産しておりません。
企業ネットワークの
ブロードバンド化を実現
RTX1000
RTX1000
2002年発売。企業の多拠点ネットワークを安全で簡単に構築できるイーサアクセスVPNルーター「RTX1000」。メーン回線に障害が発生しても、他の回線で自動バックアップできる機能を備えた点が注目を集めた。

SOHO、中小規模ネットワークに照準を定めて開発

ヤマハのルーター事業は、通信デバイス事業を始めた当初から、キーパーツである半導体を自社開発し、主にSOHO、中小規模ネットワーク向けに製品を開発してきたことが特徴だ。
「ルーターの開発を始めた当時、他社が手掛けるルーターの多くは大規模ユーザー向けで、中小規模ユーザーにとっては初期投資や管理の面で負担が大きいものでした。だから、中小規模ユーザーでも安く、手軽に導入できるルーターを開発しようと考えました」と高山氏は語る。

そして、「ソフト」「ハード」「サポート」「マーケティング」の4点が顧客満足度を高める上で重要と高山氏は続ける。
まずソフトの面では、ルータ-を動かすソフトウェアを自社開発している強みを生かし、プログラムの修正、改良を頻繁に行うなど、ユーザーのニーズに細かく、スピーディーに対応している。また、ハードの能力を充分把握して、その性能を最大限に生かす開発力も顧客から支持される理由だという。

ハードの面では、国内で生産されるヤマハルーターは、その信頼性が高く評価されている。ある場所で雷が発生し、その影響で他社の通信機器のほとんどが機能停止となる中で、ヤマハルーターは無事だったというエピソードもあるほどだ。
サポートでも充実ぶりが際だつ。自社のホームページでは、「ここまでオープンにしていいのか」といわれるほど、豊富な技術・製品情報を公開しているのをはじめ、開発者とコールセンターが緊密に連携し、ユーザーのニーズにすぐに応える体制を築いている。

さらに「rt100i-users」と呼ぶメーリングリストを使って、開発者とユーザーが同じ目線で、情報交換をする場も設けている。かつてコンピューターウイルス、「ブラスターワーム」が広がり始めた時、その影響でルーターに被害が出ているかもしれない、との意見がメーリングリストに書き込まれたことがあったという。それを見た開発者がすぐさま事実を究明し、圧倒的スピードで対策情報を提供し、ユーザーの信頼度を高めた。

開発者が販売代理店と共にソリューションを提案

マーケティングでは、ユーザーの声に常に耳を傾け、利用シーンを想定した製品づくりを基本としている。この方針の下、ヤマハでは開発者が販売代理店と共に顧客のニーズを把握し、ソリューションを積極的に提案するのも特徴だ。「代理店と開発者が一緒になってそこまでやるのは、他にあまり例がないはずです」(高山氏)。
ルーター1号機の発売からおよそ10年を経た今、ヤマハが注力するのが、インターネットを利用して企業の拠点間を専用線のように結ぶVPNやインターネットで音声データを送受信するVoIPに対応したルーターだ。最新の技術を集めた製品で、ヤマハは企業ネットワークのブロードバンド化を推進し続けている。

解説

ファームウェア
ヤマハルーター本体に内蔵されていて、ルーター本体の動作を制御するソフトウェアを指します。ファームウェアは、本ホームページからダウンロード頂き、リビジョンアップを行うことで、購入後でも最新機能をご利用頂けます。

マニュアル
ヤマハルーター製品の基本的な使い方(取扱説明書)から詳細な設定(コマンドリファレンス)までを取り揃えています。本ホームページからダウンロードすることでで、最新の情報をご覧いただけます。(マニュアルはPDF形式でご提供しております。)

充実の技術情報を掲載する「ヤマハRTシリーズルータ」ホームページ
ヤマハルーター製品の発売当初から技術情報を中心に展開しているホームページです。シンプルな作りと数多くのFAQや設定例集を掲載することで、最新の情報を発信しています。

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