ヒストリー

ヤマハネットワーク機器の歴史

1987年、ヤマハ株式会社はデジタル音声処理技術を応用して通信用LSIに参入。1995年、その応用製品の一つとしてヤマハネットワーク機器は生まれました。ユーザーの声とともに進化を続けた20年の歴史を振り返ります。

静岡で開発

DIP/QFP1887年、ヤマハ株式会社は、創業者の山葉寅楠が浜松尋常小学校(現元城小学校)のオルガン修理を切っ掛けに創業しました。楽器製造から派生したデジタル音声処理技術を応用して、1987年に通信用LSIに参入しました。ヤマハネットワーク機器は、1995年に通信用LSIの応用製品の一つとして生まれ、 本社のある静岡県浜松市で開発しています。

写真は、通信用LSIの2世代目にあたるGⅢモードファックス(9600bps)に対応した「YM7109」(1988年発売)です。YM7109は、従来2チップ構成だったものを1チップ化しつつ、低省電力化(300mW)を実現し、最終製品の小型化に貢献しました。パッケージも従来のDIPに加えて、小型化を可能にするQFPタイプも同時発売されました。
DIP:Dual Inline Packageの略。集積回路のパッケージの一種で、本体の両側に端子がでている。
QFP:Quad Flat Packageの略。集積回路のパッケージの一種で、基板への表面実装に対応して、本体の四方に端子が出ていている。

静岡と蘇州の自社工場で生産

ヤマハ・エレクトロニクス(蘇州)ヤマハネットワーク機器は、国内と海外の二つのヤマハグループの製造会社で生産されています。一つは、株式会社ヤマハミュージックエレクトロニクス(本社は静岡県磐田市)の豊岡工場と袋井工場、もう一つは、中国の蘇州にあるヤマハ・エレクトロニクス(蘇州)です。両社ともヤマハの製造品質を大切にしたモノづくりを実践しています。

ヤマハネットワーク機器の黎明

RT100i1987年にデジタル音声処理技術を応用したデジタルFAXモデムLSI(大規模集積回路)を発売。そして、1989年、当時、普及が始まったばかりのISDN LSIを発売しました。その後、いくつかのISDN回線を利用した応用端末の開発を経て、日本の商用インターネット開始にあわせ、1995年3月にISDNリモートルーター『RT100i』を発売したのがヤマハネットワーク機器の始まりです。2015年3月に20周年を迎えました。

コミュニティに育てられたルーター

yne.force.com 『RT100i』の発売と同時に「rt100i-users」と呼ぶメーリングリストの設置を通して、ユーザー同士またはユーザーと開発者とのコミュニケーションを活性化するコミュニティを作りました。このようなコミュニティで情報交換される悩み、課題、不具合報告、活用例などについて傾聴し、ユーザーと一緒に作り上げる姿勢を大切にしてきました。最近では、インターネット利用の変化に合わせてブログ、ツイッター、ヤマハネットワークエンジニア会と運営の幅を広げております。

ヤマハらしいネットワーク機器の誕生

RTA50i1994年に登場した商用インターネットは、アナログ電話回線でダイヤルアップ接続していました。当時のアナログ回線用モデムのスピードは、28.8kbps~33.6kbps、その後56kbpsに高速化されましたが、ISDN回線は64kbpsで2回線分同時利用できることや高速性・信頼性の高さから注目を集めていました。そして1997年頃からISDN回線を使って電話機能とインターネット接続機能を1台でこなせる製品が登場し、ヤマハも1997年10月にルーター機能と電話機能を1台で利用できる『RT80i』を発売しました。ISDNダイヤルアップルーター戦国時代に旗揚げです。RT80i発売直後より「小型化・低価格化・電話とインターネットのオールインワンの追求」と「ヤマハらしさの表現」をテーマに後継機開発に着手し翌年、1998年10月に『ネットボランチ RTA50i』が誕生しました。

ブロードバンドVPN時代の幕開け

RTX1000高信頼性を求める金融、自治体、製造業のブランチオフィス向けルーターとして1997年からISDNやイーサネットなどの複数WANを収容できるRT140シリーズを展開しました。RT140eは、イーサネットを2ポート持ちWAN回線としてイーサネットとISDNを併用できる当時としては大変珍しいルーターです。発売当初は、ローカルルーターやCATVインターネット接続用に使われていました。2000年以降に急速に普及したADSL回線の登場で本領を発揮。個人向けに普及したADSL回線は、高速性が評価されながらもインフラとしての信頼性が欠けるため、企業への採用は足踏みをしていました。RT140eの高速性を実現するブロードバンドVPNと信頼性を提供するISDNバックアップを組み合わせることにより、企業へのブロードバンド普及が歩み始めました。2001年末より「小型化・低価格化・高速化」と「ISDNバックアップソリューション」をテーマに開発を着手し、2002年10月に『イーサアクセスVPNルーター RTX1000』が誕生しました。

  発売 トレードカラー LAN
(100BASE-TX/10BASE-T)
ISDN
(BRI)
ISDN
(PRI)
RT140i 1997年10月 1 2 0
RT140e 1998年5月 2 1 0
RT140p 1998年5月 1 2 1
RT140f 1999年2月 2 2 0

リモートアクセスVPNの実現

ヤマハルーターを使ったリモートアクセスは、ISDN回線やPHS回線などを利用して安心・安全な通信を可能にしていました。しかし、ブロードバンド回線が普及して、新しいリモートアクセス手段として、VPNを提供するために2006年にWindows XPやVista用の「VPNクライアントソフトウェア YMS-VPN1」が誕生しました。

新たなファイアウォールの系譜

FWX120ヤマハルーターが持っているルーター機能やVPN機能などの基本機能を継承しながら、セキュリティを守る視点でソフトウェア機能を再構築して2007年に「SRT100」が誕生しました。SRT100の後継機種は、名前、外観、ハードウェア、ソフトウェアすべてにおいて、セキュリティ装置としての「分り易さ」を重視して2012年に「ファイアウォール FWX120」を発売しました。

LAN製品への取り組み

SWX2200シリーズ/WLX3021998年10月発売のRTA50iには、数台のPCを直接接続できるように3ポートのイーサネット・ハブ機能が搭載されました。それ以降、インターネットにつながる端末の種類は年々増え続け、LANも大規模化しました。しかし、その結果として過去には問題とならなかった様々なトラブルの発生も増加しました。そこでヤマハは、安定したLAN構築と管理・運用を支援するために、2011年にSWX2200シリーズを発売しました。
また、スマートフォンやタブレットの普及により無線LANのニーズが一層高まり、通信規格が高速化されたことで、業務でストレスなく活用できる環境になってきました。無線LANをオフィスで活用する際、見えない電波の使いこなしやトラブルシューティングに悩まされているユーザーに向けてWLX302を2012年に発売しました。

ルーターシェア

RTX1000の発売以降、企業利用者にご支持頂き、IDC Japanの調査対象になった2004 年以降、10年間SOHOルーター市場のシェア1位を維持しています。

国内SOHOルーター 市場シェアの推移 国内SOHOルーター市場 エンドユーザー売上額 ベンダーシェア実績、2004年~2013年

出典:IDC Japan, May 2014,国内ルーター市場 2013年の分析と2014年~ 2018年の予測(IDC #J14010103)

※ SOHOルーター市場のセグメントは、平均購入価格が1万6500円~11万円未満の企業向けルーターです。

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