多店舗展開を図る大規模チェーン店にとって、店舗と本部の間を結ぶネットワークは、受発注や決済の要となるまさに商売の「命綱」。最近ではそれに加えてブロードバンドを前提としたタブレットによる情報提供や、来店客向けのWi-Fi提供など、ネットワークに求められる機能が徐々に増えてきています。店舗のアクセス回線のブロードバンド化をきっかけにヤマハルーターを導入いただいた、株式会社良品計画(無印良品)の安田俊治氏と、株式会社NTTデータのインテグレーターとしてシステム構築に携わった桜井翔氏、営業担当の村田佳菜氏に、ヤマハを選んだ理由と評価を伺いました。
安田俊治氏
安田:ヤマハルーターを初めて導入したのは2006年でした。それまでは店舗と本部の間をデジタルアクセス64で接続していましたが、POSデータや受発注情報の送受信だけでなく、商品データの検索やダウンロードができるアプリを利用し始めたことで、回線速度が遅くなったのです。
当時はフレッツ光の価格も熟れてきたことから、全店舗にフレッツ光を導入することを決め、複数のベンダーに私達の希望に沿ったネットワーク機器の提案を依頼しました。その時にNTTデータから、店舗側ルーターとしてRT57i、バックアップ用のISDN回線を収容するセンタールーターにRT300iをご提案いただきました。
選定時に重視していたポイントの一つがコストです。当時は約330店舗ありましたから、特に店舗側のコストがかからないことが重要でした。また、店舗のネットワークが切れてしまってはクレジットカードによる決済ができなくなりますから、信頼性の高さも重要でした。RT57iは機能が十分でかつ価格も安く、フレッツとISDNのバックアップを組み合わせた信頼性の高いネットワークをご提案いただけたことが決め手となりました。
ブロードバンドVoIPルーター RT57i
村田:当時は、RT57iのように安価なルーターで、多拠点のネットワークを支えるのにふさわしい機能を備えているものはほとんどありませんでした。これにヤマハルーター専用の「RT-Master PRO」を活用することで、コストを抑えつつ包括的な運用サービスを提供することができます。
桜井:良品計画様にご提案させていただいたのは、弊社が当時「多店舗おまかせサービス」という名称で提供させていただいていたソリューションで、標準プラットフォームとしてヤマハのブロードバンドルーターと、管理ソフトウェア「RT-Master Pro」を採用しています。
フレッツは低コストで広帯域ネットワークを構築できますが、ベストエフォート型で信頼性に不安を感じるお客様もいらっしゃいます。こちらのサービスでは、弊社の監視センターから常時pingでネットワークの死活監視を行い、フレッツ回線が切れた場合はバックアップのISDN回線に切り替えることで、低価格かつ信頼性の高いサービス提供を可能にしていました。当時、そのような運用が可能だったのはヤマハルーターと「RT-Master Pro」の組み合わせだったのです。
村田:「多店舗おまかせサービス」は、現在では名称も形態も当時とは変わっていますが、ユーザーのニーズに合わせて同様のサービスを提供し続けています。
ネットワーク構成図
ブロードバンドVoIPルーター RT58i
ブロードバンドVoIPルーター NVR500
安田:回線がフレッツに変わったことで、店舗のユーザーからは「ネットワークが非常に早くなった」と言われました。ルーターについてはあまり意識されていないようですが、小さくて軽く、設置場所を選ばないのは良いのではないかと思います。通常のオフィスと違って店舗にはネットワーク機器を設置するためのラックなどありませんし、ルーターの床置きも珍しくないなど、設置環境が良いとは言えません。それでも殆ど壊れることがないのは有難いですね。
桜井:整った設置環境でなくても"問題なく稼働し、壊れない"のがヤマハ強みだと思います。壊れないというのは、単純に故障しないというだけではなく、バージョン違いによって動いていたものが動かなくなるといったトラブルも無いのです。
店舗が増えるごとにルーターはその時の最新機種を導入しますので、現在のネットワークではRT57i、RT58i、NVR500が混在しています。だからと言って、そのことによる運用負荷はありませんし、RT57iを最新のNVR500にリプレイスすれば問題なく作動します。
桜井翔氏
安田:ネットワークのリプレイスから約9年で店舗も増え、iPod TouchやiPadを店頭に導入して店舗スタッフ向けにカタログ検索や在庫検索のサービスを提供するなど、ネットワークの用途は広がっています。無線LANも全店舗に導入しました。端末数は最も大きい有楽町店では80台程度が接続されています。現在は全国で約400店舗、うち大規模店舗25店についてはRTX1210を導入し、回線の冗長化を図っています。また、ISDN収容用のセンタールーターはRT300iから段階的に変更し、RTX3500に切り替えました。
現在は、お客様向けにゲストWi-Fiの整備を進めています。店舗へのチェックインや買い物で「マイル」が貯まるアプリ「MUJIマイル」を、訪日外国人のお客様にもご利用いただけるようにしたいという営業本部の要請があり、まずは3店舗でゲストWi-Fiの提供を開始しています。これからは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの年に向け、外国人のお客様が多い店に重点を置いて展開していく予定です。
また、店内のネットワークを見直していきたいと思っています。端末数が増え、店内でループを作ってしまい、ネットワークがダウンする事故も何度か発生しています。そのような時、現状では障害が発生している場所を特定するのが大変なので、そこを改善したいです。
桜井:今後は拠点内ネットワークの課題解決に取り組んでいきます。現在良品計画様で利用されているヤマハのネットワーク製品はルーターだけですが、拠点内のスイッチやアクセスポイントなども導入することでこのような課題が解決できるのであれば、期待しています。
村田佳菜氏
安田:ヤマハの一番の良さは、「変わらない」ことにあるのではないかと考えています。先ほど桜井さんも仰っていた通り、一般の店舗では導入時期によってRT57i、RT58i、NVR500が稼働しています。RT57iも、まだ100台ぐらいは現役で動いています。モデルチェンジして性能が向上しても、設定も価格も変わらないのが大変有難いので、今後も方針を変えずに作り続けていただきたいです。
桜井:ヤマハのコマンド体系は、煩わしいこともシンプルな設定で実現できて使いやすいと思います。ウェブによる技術サポートが充実していて、設定例も公開されており、こうした資産をモデルチェンジしてもずっと引き継いでいけるのは大変助かります。海外メーカーでは、新製品が出ると、(コマンドや設定が)がらりと変わってしまい困ることが多いので、この姿勢は貫いて欲しいと切に思います。
村田:円安の影響で、価格も上がり気味なので、国産メーカーであるヤマハには期待大です。私たちにとって特に重要なことは、製品を中心としたソリューションを短時間でユーザーへ届けることです。納期が早く柔軟に対応していただけるのも、助かっています。これからもよろしくお願いします。
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