第一部 ヤマハルーターとメディアの関係

Webメディア3社座談会「メディアから見たヤマハ」

ヤマハのネットワーク機器が20周年を迎えるにあたり、メディアの皆様から見て、どのような思いで読者の皆様に情報を伝えていただいていたのか振り返ると同時に、どのようなことを期待されていたのかを、ざっくばらんにお聞きしました。

TECH ASCII.jp 副編集長:大谷イビサ

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副編集長:大谷イビサ

クラウドWatch 編集長:石井 一志

クラウドWatch
編集長:石井 一志

マイナビ エンタープライズ担当副編集長:丸山 篤

マイナビ
エンタープライズ担当
副編集長:丸山 篤

ヤマハルーターはネットワークを学ぶ「教材」だった

大谷:私がヤマハの製品を取り上げたのはインターネットアスキーという雑誌で、RTA50iのレビューを書いたのが最初です。元々ネットボランチユーザーでしたので、個人的な付き合いで言えばもう少し古いですが。媒体としてヤマハを取り上げたのはかなり早くて、NetVolanteシリーズはひと通りレビューさせていただいたのですが、記事出稿を扱いはじめたのはRTX1000が最初だと思います。

今日はネットワークマガジンの2000年12月号を持ってきたのですが、特集が「骨までしゃぶる常時接続ルーター」。この時にとりあげたヤマハ製品はRT60Wです。筐体が縦型で前面にLEDがあって、家庭にあっても違和感のないデザインでした。
当時はISDNダイヤルアップがまだ主流で、ニーズに合った設定用のGUIがちゃんとしてあって、個人用ルーターとしては洗練されたUIを持っているイメージがありました。

私にとってヤマハルーターはネットワーク雑誌を作るために、新しい技術を学ぶ教材で、そういう意味ではとても大きな存在だったと思います。VPNの技術的なところもヤマハルーターで勉強しています。ヤマハルーターを2台借りてきて、GUIを見せながら解説していました。
「ゼロからはじめるVPN」というムックを制作したのですが、「こんな難しい本はたして売れるのか」と思っていたら結構売れました。教材としてもヤマハルーターというのはマッチしていたのだと思います。

その後IP電話もNetVolanteを使って実際にやってみました。インターネットでも音がいいと思いました。

ファイアウォール設定のためのパケットフィルタリングの基礎知識も、ヤマハルーターで勉強しました。記事を書くときにも、GUIを見せながら「こう設定すれば動く」と説明できるのは重宝しました。

売り場でインパクトがあったRTA50i

— 次は石井さんお願いします。ヤマハのルーターを取り上げていただいたのは、いつ頃でしたか。

石井:記者としてのかかわりはRTX1100ですね。
そこから後のヤマハルーターのほとんどは記事化しています。ただ、ヤマハルーターと私個人の出会いは、1997年に当時働いていた家電量販店の法人向け店舗でRT102iを扱ったのが最初です。当時は通常の店舗にはネットワーク売り場がなくて、私のいた法人向け店舗でヤマハのRT80iや、競合他ベンダーのコンシューマー製品もすべて扱っていました。売っていた立場から正直に言えば、一番インパクトがあった製品はMN128SOHOで、それを逆転すべくヤマハからスタイリッシュなRTA50iが発売されて大ヒットしました。

スモールビジネス向けのスタンダード本「ヤマハルーターでつくるインターネットVPN」

— では次に、丸山さんお願いします。丸山さんは書籍「ヤマハルーターでつくるインターネットVPN」の初版と第2版にかかわっていただいています。

丸山:毎日コミュニケーションズに入社した当初は、PCワークという企業向け雑誌の編集部にいました。そこでRTA50iのリリースを見て記事化したのが、私とヤマハルーターの出会いです。キューブ型というのがたいへん印象に残りました。
書籍編集部に異動後、ライターの井上孝司さんから「ヤマハルーターでのVPN構築でみんな苦労しているから本を出したら売れるんじゃないか」という提案をいただきました。ヤマハのルーターといえば、企業ユースではなく、ハイエンドコンシューマー向け製品だと思っていたのでちょっと意外な印象をうけました。
売れるかどうか半信半疑だったのですが、ベストセラーになるような売れ方ではないにせよコンスタントに売れ続けて、新機種が出た時に第2版を出しました。その後も第3版の第5刷まで出ています。収益に貢献していただいてありがとうございます(笑)。

ヤマハルーターでつくるインターネットVPN「ヤマハルーターでつくる
インターネットVPN」第4版
絶賛発売中!!

大谷:この本はスモールビジネス向けのネットワーク本としてはスタンダードですよね。ネットワークの教科書としてはシスコのCertifiedもあるけど、ブロードバンドルーターでVPNをやろうという本はありませんでした。良い本だと思います。

丸山:VPNの基本から書いていたのが良かったのだと思います。在庫切れして中古本に1万円を越える価格がついたりしましたが、コンスタントに売れる需要があるということは出版社としては嬉しいです。この夏には新版を出版する予定なので、よろしくお願いします。

ヤマハルーターは「課題解決」的な製品

大谷:ヤマハルーターには課題解決的なところがあると思います。VPNの場合がわかりやすいのですが、「専用線はとても高い」「ISDNの128kbpsでは細すぎる」という現状に対して、インターネットでセキュアなトンネリングを行い、低価格の仮想専用線を作るというコンセプトは、小難しいVPNの説明をするよりも良かったのではないでしょうか。VPN特集の表紙は、インターネットで安く安全にトンネルが張れる、ということを訴求して作っていました。雑誌の特集として、テーマがはっきりしているものはマッチします。
IP電話の解決した課題は「インターネットで電話ができる」ということで、ISDNでできていたことが、ブロードバンドでルーターを使えば、またできるようになりました。
インターネット電話を受けるためにNetVolante DNSというサービスも誕生しています。機器とインターネットサービスを組み合わせるのは先進的だったと今振り返ってみて思います。

石井:販売していた立場から言うと、お客様のやりたいことというのはシンプルで、判断基準は「いくらで何ができるか」とこれもまたシンプルです。VPNを使いたくても、それまでは高価な機器を使わなくてはできなかったのが、RT100iやRT102iなどルーター自体の価格が下がって、お客様がやりたいことがストレスなく安定してお金をかけずに実現できるというのは、エポックメイキングな出来事でした。
RT100iから続くRT105eまでのラインをヤマハはずっと続けていましたから、お客様にとっては知識継承がしやすかったということはよく言われています。RT100i、RT102iは相当数売れていますし、その上でSIerやエンドユーザーが使い続けているのは財産として生きているのではないでしょうか。

NetVolanteは壊れない

石井:別のライン、NetVolanteにもヤマハの製品らしさを感じます。RT80iは初期不良が少ない機種で、お店の中で信頼感ができたのですが、正直、デザインやパッケージはぱっとしなかった。そこがRTA50iで一新されました。

大谷:RTA50iは相当「ヤマハらしさ」が出た機種だと思いました。楽器メーカーであるヤマハのイメージとピアノ感がマッチしているし、立方体の筐体がとてもかわいい。次のRTA52iは、ちょっとお兄さんになったような感じで、これも愛着があります。

石井:販売現場では52は50に比べるとちょっと評判が落ちたかな。とにかく50が良かったので…

大谷:当時は横型の筐体に縦置きスタンドがついているものが多かったので、立方体型は衝撃でした。

石井:スタッフ間ではRT102iの信頼感や、RT80iでも他社製品に比べるとトラブルが少なかったという実績から、「RTA50iを勧めておけば安心」という空気ができていました。
NetVolante、秋葉原では評判良かったです。いくらで何ができるかを考えた時、サポートにお金をかけたくない、だからといって壊れて買い換えるというのではお金がかかり、いずれにしても負担になります。それはSIerにとっても同じことです。とにかくNetVolanteは壊れない、というのが、一番のポイントでした。

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