株式会社コロンビアスポーツウェアジャパン

“Shop in Shop” など多様な店舗展開にヤマハ「RT58i」を採用
固定コストの大幅な削減と高品質な内線VoIPを実現

登山、フィッシング、スキーなど、アウトドアアパレルにおいて幅広く商品展開を行っているコロンビアスポーツウェアジャパン。 同社では、直営店、フランチャイズ店など、31のリテール店舗と本社をつなぐネットワークをヤマハのVPNルーター「RTX1500」「RT107e」を基盤に構築した。これにより、十分な信頼性を確保しつつ、ネットワークコストの大幅な低減や社内電話のVoIP化による通話料も削減した。

信頼性確保と通信コスト削減の両立が店舗展開の課題に

“アウトドア” “アクティブ” “オーセンティック” “アメリカン” “バリュー” の5つのキーワードをコンセプトに、登山やトレッキング、ウォータースポーツ、マウンテンバイク、フリークライミングなどのウェアやシューズ、グッズの販売からマーケティングを手がけるコロンビアスポーツウェアジャパン。同社は、直営店、アウトレットショップ、フランチャイズ店など合計31のリテール店舗を全国に展開。また、スポーツ用品小売業への卸販売も行っており、これら小売業のショップ内に「Shop in Shop」の形で販売スペースも持っている。

同社のこうした展開を支えるのがネットワークだ。その中でも特に重要なのは、リテール店舗と本社間を結ぶPOSデータの送信網だ。POSデータを使ってリアルタイムな在庫管理をしているため、このデータ通信網のどこか1カ所に障害が発生すれば、全社の活動に影響を及ぼす。それだけに、信頼性の確保は、事業継続性の観点からも重要なポイントとなる。しかし、その一方で通信コストの肥大化が大きな課題として浮上していたという。

「コロンビアスポーツウェアの良さが認識されるとともに、リテール店舗の数は拡大傾向にあります。店が増えれば通信コストが増えますが、マーケティングの視点から見れば、固定コストはできるだけ低く抑えて店づくりに投資したい。何かいい方法はないかと考えていました。そこに、通信コストが下げられるうえに信頼性も確保できる、“一石二鳥” の提案をしてくれたのがヤマハでした」とコロンビアスポーツウェアジャパンマーケティング部 部長 牧野 克彦氏は振り返る。

原宿店1 店内風景原宿店2 店内風景

旗艦店となる原宿の店舗の様子

株式会社コロンビアスポーツウェアジャパン 管理本部 システム課 システムアドミニストレータ 長坂 悟郎 氏

株式会社コロンビアスポーツウェアジャパン

管理本部 システム課 システムアドミニストレータ
長坂 悟郎 氏

ヤマハルーターを基盤にネットワークを刷新

図 コロンビアスポーツウェアジャパンのネットワーク概要

図 コロンビアスポーツウェアジャパンのネットワーク概要

※1.リカバリーシステムにより、ネット端末には、顧客の利用履歴は一切残ることがないので安心して利用できる。
※2.各席ごとにVLANを切り、他の席からのアクセスを禁止。

データ系、データ系バックアップ、音声系の3系統のネットワークをインターネットVPNで構築。リテール店舗から外部へのインターネット接続はすべて本部を経由する構成だ。また、電話帳サーバー「RTV01」で、内線VoIPネットワークの電話番号を一括管理している。

今回、同社が行ったネットワーク刷新のポイントは3つあった。

第1に、従来のIP-VPNからインターネットVPNへ切り替えた点だ。この切り替えにより、ネットワーク利用料を大幅に削減することができる。ただし、POSデータを安定的にやり取りするためには、インターネットの広帯域を効率よく運用する仕組みが不可欠だ。そこで、本社にはイーサアクセスVPNルーター「RTX1500」を、リテール店舗には小規模VPN構築に適したイーサアクセスVPNルーター「RT107e」を配置。さらに信頼性を確保するために、異なるプロバイダーのネットワークを利用して、データ通信網を2系統用意した。リテール店舗はこの2系統のネットワークで本社とつながっているため、万一、メイン回線に障害が発生しても、バックアップ回線を使ってPOSデータ送信を維持することが可能だ。

第2に、社内の音声通話をVoIP電話へ移行した点だ。この移行によって、社内のコミュニケーションで使っていた外線電話が不要になり、一般電話網の通話料金を削減できる。ただ、業務上に影響が出ないように、ネットワークは音声系のためにもう1回線確保。VoIP機器は、ブロードバンドVoIPルーター「RT58i」を採用した。 通常、テナントとして出店しているリテール店舗の場合、外線電話は、立地先のデパートやビルの電話インフラを利用して構築する。その点、RT58iは一般電話網とISDN電話網とVoIPに対応できるため、ビルの既存環境に対応した「社外との電話網」と「VoIPを使った社内の内線網」の両方を同時に運用することが可能だ。

そして第3が、モバイルPCからVPN網へのアクセスを実現した点だ。 これまでもShop in ShopのモバイルPCは、マネージドのVPNサービスを利用していたが、 それに代わりヤマハVPNクライアントソフトウェア「YMS-VPN1」をインストールし、インターネット回線を使用してもセキュアに本社へアクセスできるような仕組みを整備したのである。

既存環境への対応が難しいテナント接続をヤマハがサポート

ネットワークの更改は、2007年2月から3月までの1カ月間で集中して実施した。コロンビアスポーツウェアジャパンの社内SEが、大阪支店、リテール店舗、Shop in Shopの合計45拠点を自ら回って設置を完了したのである。

「2007年第1四半期に導入を完了し、第2四半期からは成果をあげたいという思いで、設置を急ぎました。ただし、店舗側ではお客様対応に集中できるように、店の外でルーター設定を済ませ、実際の作業は10~15分で終わるように工夫しました」とコロンビアスポーツウェアジャパン 管理本部 本部長の片山 聡子氏は語る。

その際に最も苦労したのは、既存のアナログ環境を利用しつつ、VoIPを導入するための各種設定だったという。というのも、テナント出店先の電話環境は、予想をはるかに超えて千差万別だったからだ。

「ビルができた時期もそれぞれ異なりますから、最初はつながらない拠点もありました。しかし、ヤマハが様々な設定を試行錯誤して検証してくれたため、最終的には全部つなぐことができました」と片山氏は話す。

こうしたネットワーク刷新によって、コロンビアスポーツウェアジャパンは、固定コストの削減を推し進めることに成功。「当初、ネットワーク回線料と音声通話料の合計で15~20%削減を目標にしました。途中で店が増えたりしたので多少変動しましたが、おおよそ目標は達成できていると思います」と牧野氏は手ごたえを示す。加えて、IP電話の音声品質が優れていることもうれしい驚きだったという。ヤマハのVoIPは音質が良いことに加え、音声系のために光回線を1系統確保しているため、IP電話に対する不安を完全に払拭したのだ。

「最初は、ヤマハがルーターを提供しているベンダーであることを知りませんでした。しかし、問題点とやりたいことを相談したら、それが実現できるまでとことんつきあってくれる姿勢に感銘を受けました。今では、深い信頼をおいています」と片山氏は評価する。

ネットワークは利用者にとっては水や空気のような存在であり、きちんと動くことがあたりまえである。ヤマハは今後も、コロンビアスポーツウェアジャパンのコストや運用負荷を軽減する提案を積極的に行って、同社がアパレル販売の本業へ専念できる体制づくりを支援していく。

導入会社様

株式会社コロンビアスポーツウェアジャパン ロゴ画像

株式会社コロンビアスポーツウェアジャパン

本社
東京都渋谷区神宮前1-3-10 コロンブスビル
URL  http://www.columbiasports.co.jp/

設立 1997年6月11日
資本金 6000万円
従業員数 191名(2007年9月30日現在)

事業概要
米国を代表するアウトドア専門のアパレル企業、コロンビア・スポーツウェア・カンパニーの子会社で、日本における販売とマーケティングを担当。耐久性や機能性と同時に、ファッション性とリーズナブルな価格を兼ね備えたブランドとして世界で知られている。


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