株式会社 新出光

RTXシリーズを基盤に150拠点をインターネットVPNで接続
大幅な業務効率化と年間2400万円ものコスト削減を実現

エネルギーとカーライフの総合商社である株式会社新出光では、インターネットVPNを導入し、直営SSやレンタカー営業所など150カ所余りを結ぶネットワークを刷新した。その基盤を担うのがヤマハのイーサアクセスVPNルーター「RTXシリーズ」だ。回線バックアップ機能を利用し、重要拠点とアクセスセンター間をISDNで、アクセスセンターと本社間を無線LANで、それぞれ冗長化した。IP電話の導入とも併せて、業務の効率化と大幅なコスト削減を実現している。

150 カ所余りの拠点をインターネットVPNで接続

創業以来78年の歴史を持つ株式会社新出光は、カーライフとエネルギーの総合商社として、時代の変化にいち早く対応しながら、時代に必要なエネルギーを提供してきた。中心を占めるサービスステーション部門では関東から九州まで600カ所のサービスステーション(以下、SS)を運営、その他、LPガスや産業用エネルギーの供給、そしてレンタカーやカーリースに至るまで幅広い事業を行っている。こうした事業展開を支えるのが油槽所やLPガス充填所などの物流システムと受発注オンラインシステムを中心とするネットワークだ。ネットワークは20カ所の支店とはIP-VPNで結ばれていたが、各SSとはISDN回線によるダイアルアップ接続であったため、様々な問題が生まれていた。

「SSでは、実績データ以外にアルバイトの出退勤管理やISO9002関連の書類など様々な情報を、支店や本社との間でやり取りしなければなりません。そのためのファイルはLotus Notes上で開くのですが、簡単なものでも2~3分かかる状態で、給油業務で忙しい現場のスタッフにとって大変な負担になっていました。また、接続時間が長くなって電話料金もかさむなど、コスト的にも大きな問題となっていたのです」と株式会社新出光フォーバル営業部NW営業課 営業企画課 課長の高武康浩氏は打ち明ける。

こうした問題を解消するため、同社ではSSネットワークをインターネットVPNに切り替えることを決断した。「本来、ISO9002を取得した2000年にも、SSのインフラ整備に着手することが検討されました。しかし、当時、SSをブロードバンドで結ぶことは、コスト的な観点から断念しました。しかし、その後、ブロードバンドの普及によって、コストも大幅に下がったため、インターネットVPNの採用に踏み切ったのです」と株式会社新出光フォーバル取締役 営業部長の中川正氏は振り返る。

写真:株式会社新出光フォーバル 営業部NW 営業課営業企画課 課長(NW 営業課営業企画課兼任) 高武 康浩 氏
株式会社新出光フォーバル

営業部NW 営業課営業企画課
課長 (NW 営業課営業企画課兼任)
高武 康浩 氏

写真:株式会社新出光フォーバル 取締役 顧客満足度向上委員会委員長 営業部長 中川 正 氏
株式会社新出光フォーバル

取締役
顧客満足度向上委員会委員長
営業部長
中川 正 氏

ヤマハルーターと回線の冗長化で信頼性の高いインターネットVPN を構築

写真:システージ株式会社 天野 朝貴 氏
システージ株式会社

天野 朝貴 氏

新出光グループのネットワークの構築・運用を担当する株式会社新出光フォーバルでは、パートナーであるシステージ株式会社と具体的なプランの策定に入り、IP電話も併せて導入することにした。「インターネットVPNでは信頼性の確保がポイントです。そのため、冗長化のための設計を行い、ヤマハのイーサアクセスVPNルーター『RTXシリーズ』をプラットフォームに選定しました」とシステージ株式会社の天野朝貴氏は述べる。

ネットワーク構成(全153拠点)

図:ネットワーク構成図(全153拠点)

(図-A部分)
BフレッツもしくはADSLに障害が発生した場合には、RTX1000の回線バックアップ機能を利用し、ISDNに自動的に切り替えられる。
(図-B部分)
フレッツ・グループの障害発生時には、RTX1000のバックアップ機能で無線LANに切り替えられる。

約150カ所の直営SS及びレンタカー営業所はBフレッツかADSLでアクセスセンターに接続されるが、その中でリアルタイムで売上処理を行うレンタカー営業所など重要拠点約30カ所はRTXシリーズの回線バックアップ機能を活用し、メインのRTX2000がダウンした場合はRTX1000に、それでも通信できない場合には、ISDNに切り替わるように冗長化されている(図-A部分)。また、アクセスセンターとホストやサーバーのある新出光本社間もフレッツ・グループと無線LANで冗長化し、回線バックアップ機能で、フレッツ・グループがダウンした時には、自動的に無線に切り替わるようになっている(図-B部分)。加えて、IP電話のためのVoIPルーターとして、VPN(PPTP)機能やファイアウォール機能も搭載したRT57iを採用した。

ヤマハルーターの採用理由について、「以前、ヤマハルーターで、新出光フォーバルさんと一緒にネットワークを構築した経験があり、技術的な蓄積がありました。また、ヤマハは積極的に情報を開示しているため、トラブル時の原因切り分けが容易に行える点も評価の対象になりました」と天野氏は説明する。一方、武氏は「一番評価したのは同クラスのルーターでは例のない自動バックアップ機能です。これによって、冗長度の高い構成を簡単に構築でき、非常に信頼性の高いネットワークを実現することができました」と語る。そのほか、最初にプロトタイプとしてRTX1000で構築した小規模なネットワークを、RTX2000にそのまま移行できることや、様々な回線インターフェースを備えている点も大きなポイントになったという。

新出光フォーバル(アクセスセンター)に設置された RTX2000、RTX1000とRT57i

新出光フォーバル(アクセスセンター)に設置された RTX2000、RTX1000とRT57i

インターネットVPN とIP電話で年間2400万円のコストが削減可能に

こうして、2004年始めから導入を開始し、10月には全153拠点への導入が完了、ヤマハルーターは現在、順調に稼動している。その導入効果について、高武氏は「システムの入れ替えは、新しい使い方に慣れなければいけない現場スタッフが一番嫌がります。しかし、今回は現場が一番喜んでいます。何しろ、今まで5分もかかったファイルが20秒で開けるようになり、CSVファイルも簡単に見られるようになったのです。また、Webベースのアルバイトの出退勤管理システムも立ち上げ、支店業務の効率化にも貢献しています」と満足感を示す。また、コスト面でも「インターネットVPNとIP電話の双方を合わせると、最低でも年間2400万円のコスト削減効果が見込めると試算しています」と中川氏はその効果を説明する。

株式会社新出光では、次のステップとして支店間のIP-VPNをインターネットVPNに切り替える方針だ。インターネットVPNとIP-VPNを両方を使ってみると、インターネットVPNの方がコストが安いだけでなく、冗長化部分では信頼性も高いという印象を受けるという。そこで、同社ではインターネットVPNの弱点を洗い出し、その弱点を補うための対策を施した上で、支店間ネットワークをインターネットVPNへと切り替えていく考えだ。そうした展開に向け、「かゆいところに手が届くようなラインナップを、これからも一層充実させて欲しいですね」と高武氏はヤマハへの期待を語る。

今回の成果の上に、新出光では、コスト削減と業務効率の一層の向上を図り、エネルギーとカーライフを担う総合商社として経営体質の一層の強化を図る構えだ。

導入会社様

【株式会社新出光】

株式会社新出光

所在地
〒812-0036
福岡県福岡市博多区上呉服町1-10
TEL:092-291-4134(代)
URL  http://www.idex.co.jp/

事業内容
エネルギーとカーライフを担う総合商社。関東から九州まで600 カ所に及ぶサービスステーション(SS)を中心とするSS事業から、産業用燃料やLPガスまでを幅広く提供。その他、オートリースやレンタカー、自動車整備工場、自動車ディーラーなども展開している。


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