日用品/生鮮食料品宅配業者のオレンジライフは、ヤマハルーター「RTX1000」「RT57i」とNTT西日本のフレッツ・シリーズを使って、社内ネットワークを再構築した。ブロードバンド上には、データ系だけでなく、VoIPを導入して音声系も統合。本部/8営業所間の通信料金が大幅に削減できたため、ネットワーク再構築の初期投資約200万円は、3年で回収できるという。オレンジライフでは、営業所からのインターネット接続、グループウェア導入などを次々に果たし、競争力強化に向かって大きく前進した。
オレンジライフは、北部九州地区随一の日用品/生鮮食料品宅配業者である。登録会員4万5000人のうち、8割が毎月注文を繰り返すなど、リピート率の高さが特徴だ。
会員から高い支持を得ているのは、新鮮な食材をすばやく届けるスピードである。当日24時までに注文すれば、翌日の夕方確実に届く。スピーディな受発注は、効率の良い基幹系システムに支えられている。会員からの注文の電話は、営業所に設置のIVR(音声自動応答)で自動的に受付を行い、専用線を介して本部のメインフレームに集約される仕組みを早くから確立してきた。しかしその一方で、本部と8営業所を結ぶ情報系のネットワークは、公衆電話回線に頼っており、情報共有がスピーディにできないという悩みがあった。
「各営業所でもインターネットを活用できる環境を作り、パソコンを1人1台配布してメールアドレスも全員に持たせて、情報武装しなければこれからの時代は勝ち抜けない。本部のメインフレームから営業所サーバーへのデータのフィードバックもより効率よくしたい。ゆくゆくは、お客さまからインターネット経由で注文を受けられる体制も作りたい。しかし、余剰資金が少ないなかで、新たに、情報系ネットワークを再構築する数百万円の予算を捻出するのはなかなか困難だった」と、オレンジライフ株式会社代表取締役社長福田誠志氏は明かす。
そこで目をつけたのが、VoIPである。社内VoIPを使えば、本部/8営業所間でかかっている電話やFAXの通信料金を節約できる。ざっと試算したところ、社内のやりとりをVoIP経由にすれば通信料金の約2割が削減可能であり、浮いたコストだけでネットワーク再構築にかかる初期投資を3年間で回収できることがわかった。VoIP利用だけでも短期間で確実に投資回収ができ、しかも強化したデータ系ネットワークを活用して、将来の戦略的な展開が可能になる。オレンジライフでは、社内VoIPの導入を前提に、ネットワークの再構築を決断した。
管理本部 情報グループ課長
松田 訓 氏
情報システム室
紫原 博文 氏
料金サービスであるフレッツ・シリーズを提供しているのも、NTT西日本の魅力の1つである。NTT西日本は、ネットワーク設計に際して、オレンジライフのニーズに応えるルーターとして、ヤマハルーターを選定した。評価したのは次の5点である。
第1に、ヤマハルーターはVoIPに強い。「早くから対応しているため、実績も豊富。音声品質も良い」と、オレンジライフ株式会社情報システム室紫原博文氏は評価する。
第2に、セキュリティに強い。データ系/音声系とインターネット接続を統合するため、セキュリティは極めて重要な要件だった。「ヤマハルーターは、VPN 機能のほかに、高度な不正アクセス検知やフィルタリングによるファイアウォールも標準で搭載するなど、セキュリティに対する意識が高い」と、西日本電信電話株式会社福岡支店ソリューション営業部第一営業部部長代理梶原道彦氏は話す。
第3に、VoIPを実現するのに充分なスループットである。
第4に、フレッツ・シリーズと相性が良いことである。フレッツISDN、フレッツADSL、光ファイバーを使ったBフレッツのすべてに、1台のルーターで対応することが可能だ。「VoIP必須条件を検討した場合、NTT西日本が提供するフレッツシリーズのすべてのサービスに対応でき、機器の選定に条件が無かったこと、及びVoIPの実績から音声の品質も確認できたのは、ヤマハルーターならではのメリット」と、西日本電信電話株式会社福岡支店ソリューション営業本部システムエンジニアリング部製造・流通グループサブマネージャ湯村靖夫氏は語る。
そして第5に、リーズナブルな価格設定。つまり、データ系/音声系/インターネット接続という多様なニーズを安全に実現するルーターとして、抜群のコストパフォーマンスを実現できたのである。
福岡支店
ソリューション営業部
第一営業部 部長代理
梶原 道彦 氏
福岡支店
ソリューション営業本部
システムエンジニアリング部
製造・流通グループ サブマネージャ
湯村 靖夫 氏
オレンジライフでは、最大30拠点のVPNトンネリングに対応するイーサアクセスVPNルーター「RTX1000」を本部に置き、ブロードバンドVoIP ルーター「RT57i」でVoIPを実現するネットワークを採用(図参照)。2003年10月から利用を開始し、本部/8営業所間での社内連絡にかかっていた通信コストの削減に成功。音声品質にも満足している。「しかも営業所からのインターネット接続が可能になり、社員全員がメールアドレスを持ってグループウェアも利用できるようになったことで、意識改革も進んでいる」と、オレンジライフ株式会社管理本部情報グループ課長松田訓氏は喜ぶ。
オレンジライフでは、コンピュータ連携の整備による情報共有の促進、IP電話導入による外線通信料金の削減など、競争力強化を目指した経営戦略的な計画が目白押しだ。NTT西日本では今後、「VoIPでコスト効果を出してデータ系ネットワークを充実する」というソリューションを、多拠点/多店舗展開している多くの企業に横展開していく考えだ。
所在地
〒830-0111
福岡県三潴郡三潴町大字西牟田4450-1
TEL:0942-65-1155 FAX:0942-65-0674
URL http://www.orangelife.co.jp/
事業内容
北部九州を中心に展開する会員制生鮮食料品宅配事業。
会員数4万5000人。
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