医療・介護向け見守り支援システムとの無線接続検証

(掲載日:2022年09月16日)

#医療・介護・福祉 #無線LANアクセスポイント #スイッチ #ルーター #YNO

病院や介護福祉施設ではスタッフ不足を補うための介護ロボットや見守りシステム等の導入が進んでおり、無線接続が必要な機器が増えたことでWi-Fi環境整備の需要がますます高まっています。

今回は、パラマウントベッド株式会社が提供する体動センサーおよびIPカメラを用いた見守り支援システムとヤマハネットワーク機器との接続検証を実施し、その有効性を確認いたしました。
パラマウントベッド株式会社

パラマウントベッド株式会社

■検証の目的

見守り支援システムは24時間入居者の安全を見守るため、安定したネットワーク環境が不可欠です。 そこでパラマウントベッド株式会社、SCSK株式会社、ヤマハの3社共同で実施し、見守り支援システムが安定稼働するための環境・設定を確認しました。

■検証時の構成イメージ

検証時の構成イメージ
  • 体動センサー、IPカメラとの無線接続はクラスター管理機能を持つWLX413およびWLX212で接続。
    無線LANコントローラーはWLXシリーズに内蔵しているため別途用意不要。また一部カメラはSWX2310P-18GからPoE接続。
  • WLXシリーズに内蔵しているRADIUSサーバー機能で証明書発行およびRADIUS認証。
  • RTX1220からLANマップにより端末までを一括管理。
  • 長時間運試験時には現場を離れるため、クラウド型統合管理サービスのYNOで外部からでも状況を一元管理。

■検証結果

本検証では以下の試験を行い、すべての項目で運用上問題無い水準の結果を得ることができました。

  • 電波環境の変化における動作の確認
  • 多台数端末の同時接続時における動作の確認
  • 通信負荷が高い状態における動作の確認
  • 長時間運用時における動作の確認
  • 意図的に通信を遮断し、再接続時の動作を確認
  • 証明書認証(EAP-TLS)での接続性の確認

■推奨環境・設定

今回の検証結果から、見守り支援システム導入時に推奨する環境・設定をご紹介します。なお、お客様環境での動作を保証するものではありませんので、導入時は実際の現場に合わせて環境構築・設定をお願いいたします。

<無線端末の受信信号強度>
信号強度が比較的悪いとされる「-70dBm~-75dBm」の値においても、端末が接続できることを確認しましたが、実環境では環境の変動(モノの移動、電子機器の使用、電波干渉等)が考えられるため、「-65dBm」以上での利用を推奨します。無線端末の受信信号強度が「-65dBm」より低くならないように無線APをご配置ください。

<使用チャンネル>
5GHz帯の使用チャンネルは、安定的に動作させるために気象・航空レーダー波の干渉を受けないW52のみを推奨します。

<チャンネル幅>
5GHz帯のチャンネル幅の設定は、WLXシリーズの初期設定では80MHzとなっていますが、W52のみを利用する場合は、チャンネルの選択範囲を増やすために20MHzを推奨します。これにより不用意な電波干渉を防ぐことができます。

<PMF(管理フレーム保護)>
本検証では、PMF利用時に動作が安定しない端末が存在したため、SSID作成時にPMF設定はOFFに設定することを推奨します。また、認証方式「WPA3」はPMFの有効化が必須となるため、「WPA2」でご設定ください。

■無線環境の構築・運用に有用な機能、サービス

ヤマハのルーター、スイッチ、無線LANアクセスポイントを組み合わせることで、ネットワーク管理者の負担を軽減する様々な機能を活用することができます。本検証では、見守りシステムを運用する際に有用なヤマハ製品の機能、サービスについても確認しましたのでご紹介します。今回検証に使用した機種以外にも搭載している機能ですので、施設の規模や用途に応じて機種を選定し、活用いただけます。

<シンプルで安価な機器構成:クラスター管理機能>
同じL2ネットワークに接続されている複数台の無線APを一元管理するためのシステム。別途無線LANコントローラーを用意する必要が無いため、コストを抑えることができ、設定が自動的に同期されるため、無線APを複数台設置する際に大幅に設定の負担を軽減することができる。

<セキュリティ機能:内蔵RADIUSサーバー>
WLXシリーズはRADIUSサーバーを内蔵しているため、別途RADIUSサーバーを用意することなく証明書発行およびRADIUS認証が可能。IEEE802.1X認証に対応しているSWXシリーズと連携してSWXに接続されている端末もWLXシリーズで認証することができる。

<無線環境の可視化:無線LAN見える化ツール>
無線APの周囲の電波状況をリアルタイムに確認できるツール。SSID毎の電波干渉度合いやチャンネル使用状況、端末毎の信号強度、受信レート、ログ等を確認できる。

<PoE機器の自動再起動:死活監視による自動PoE給電OFF/ON>
死活監視(ping、LLDP、受信スループット)と組み合わせ、ハングアップした端末への給電を自動的にOFF/ONし、再起動させることが可能。

<LANの一括管理:LANマップ>
端末を含めたルーター配下のトポロジーをツリー構造で見える化し、LANの状況確認やスイッチ・無線APの設定変更を行うことができる機能。スナップショット機能にも対応しており、接続断や新たな端末の接続などネットワークに変化があった際にメール通知をすることも可能。

<クラウド型統合管理サービス:YNO>
ヤマハネットワーク機器をクラウドから統合管理することができるクラウドサービス。ネットワーク担当者がどこにいてもクラウドから複数拠点の状況確認や設定変更をすることが可能。

■関連情報

いかがでしたでしょうか?安定した無線環境の整備・運用に本情報をお役立ていただけると幸いです。
本検証について詳細な検証内容を知りたい方は、ネットワーク機器お問い合わせ窓口より本テクニカルノーツのタイトルを記入してお問い合わせください。
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