QoSの概要は、「QoSとは」をご覧ください。
ここでは、QoSの詳細を説明します。QoSで使用する機能は、目的や用途に応じて以下のように使います。
優先度の高いデータを先に送信する制御方法です。
通話や動画など、リアルタイム性が重視されるネットワークサービスの通信を遅延させたくないときに利用します。
まず、優先制御を行わない場合に、何が起こるかを考えてみましょう。
ネットワーク機器が受け取ったデータは、先着順でキューに格納されます。通信が集中すると、キューが埋まってしまうことがあります。次のデータを受信するには、キューが空くまで待つしかありません。待っている間に次のデータが来てしまった場合、そのデータは破棄されます(たとえ、それが重要なデータだったとしても)。破棄されたデータは、送信元から再送されることもありますが、そのぶん通信が遅延してしまいます。リアルタイム性が重視されるサービスにとって、データが破棄されたり、通信が遅延したりすることは望ましくありません。
また、キュー内には、重要データと非重要データが混在しています。非重要データが多いほど、重要データの送信が後回しになる可能性が高まります。このままでは、リアルタイム性の高いネットワークサービスで、異常が起こるかもしれません。
優先制御を行わない場合
このように、別の通信による影響を受けたくない通信があるときは、優先制御を行うと効果的です。
優先制御を行う際には、優先して送信したいデータの種類を、ネットワーク機器に設定しておきます。
受信したデータは、クラス分け、マーキング、キューイングのプロセスを経て、それぞれの優先度に対応したキューに格納されます。そして、優先度が最も高いキューのデータから送信するように、送信の順番をスケジューリングします。
これによって、ネットワーク機器内に複数のデータが残っているときでも、必ず、優先したいデータから先に送信されます。通信が混雑しても、他の通信の影響を受けなくなり、ネットワークサービスとしての品質を維持できます。
ただし、優先度の低いデータは破棄されやすくなることに注意してください。
優先制御を行う場合
特定の通信に対して、有効な帯域幅(通信速度)を指定する制御方法です。
特定の通信によって帯域が占有されることを防いだり、特定の通信の帯域幅を一定量確保したりするときに利用します。
まず、帯域制御を行わない場合に、何が起こるかを考えてみましょう。
帯域幅には上限があります。ある通信において大量のデータをやり取りすると、その通信だけで帯域を占有してしまうことがあります。
このままでは、他の通信は、必要な帯域を確保できません。データのやり取りがスムーズに行えず、ネットワークサービスとしての品質が低下してしまいます。
帯域制御を行わない場合
このように、別の通信が行われていても、一定の帯域幅を確保したいときは、帯域制御を行うと効果的です。
帯域制御を行う際には、帯域を確保したいデータの条件と、有効な帯域幅を、ネットワーク機器に設定しておきます。
するとネットワーク機器は、設定した帯域幅を確保して、データを送信するようになります。通信が混雑したときには、各通信の帯域幅を、設定した範囲内に抑えます。
これによって、各通信が一定の帯域幅を確保でき、ネットワークサービスとしての品質を維持できます。
帯域制御を行う場合
Dynamic Class Control (DCC) とは、QoSの制御方法のひとつです。
帯域を占有している端末を発見すると、その端末の使用帯域を、制限または遮断します。
従来のQoSでは、クラスごとに割り当てた帯域を、クラス単位で制御します。
同じクラスを使用する端末間での制御はできません。
DCCを利用しない場合
従来のQoSに加え、端末単位で帯域を制御します。
帯域を占有している端末の使用帯域を、制限または遮断します。
DCCを利用する場合
階層型QoSとは、クラスの構造を階層化して、より厳密にデータの送信順番を制御するための機能です。
第1階層で帯域制御、第2階層で優先制御といったように、2つの制御を組み合わせることも可能です。
階層型QoS
帯域検出機能とは、データの送信速度を調整する機能です。
対向拠点までの実効帯域を動的に測定し、重要なパケットがインターネットで不適切に破棄されることを防ぎます。
帯域検出機能を利用しない場合
帯域検出機能を利用する場合
負荷通知機能とは、機器の負荷が高いときに、意図せず破棄される受信データの量を減らすための機能です。
データ受信時の負荷状況に応じて、送信元の拠点に対して、データの送信速度を調整するよう要請します。
負荷通知機能を利用しない場合
負荷通知機能を利用する場合
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