——前モデルのRT58iと比較して新しく加わった機能を、具体的に教えていただけますか。
牧田 大きく、以下~
[1]ブロードバンドでの通信速度を上げるため、すべてのLANポートをギガビット対応にした「オールギガ化」。
[2]モバイル・インターネット回線に対応して、有線回線を設置できない地域への展開を実現。
[3]フレッツ光ネクストの「ひかり電話」に対応。
[4]顧客環境へのカスタマイズ対応で、細かなお客様の個別要望をサポート。
[5]USBポート経由で大容量のハードディスクを接続して、ファイル共有とファイル同期を実現。
~の5つです。
——新機能の中で、フレッツ光ネクストの「ひかり電話」対応がありますが、フレッツ光ネクスト「ひかり電話」に新たに対応した理由はなんですか?
牧田 フレッツ光ネクスト「ひかり電話」ではNTTの制度が大きく変わり、サードパーティでも対応製品を発売しやすくなりました。「オールインワンルーター」を謳うネットボランチシリーズにとって「電話が使える」というのは、大きな要件の1つです。そうした自負もあって、NTTが新しい「ひかり電話」のサービスをリリースしたなら、まずヤマハが一番に対応してみせようという意気込みがありました。
——他の個別の新機能についても、それぞれ注目ポイントをお聞かせ願えますか。
商品開発部 技師補
梶 俊明
梶 全部のLANポートをギガビットイーサ化したのは、時代の流れとして当然の対応ですが、ここでも見えない技術の進歩がありました。従来のギガビットイーサは消費電力も発熱も大きかった(※1)のですが、チップの性能の進歩もあり、筐体サイズを変更することなく大幅な省電力化を実現できました。またモバイル・インターネット対応をはじめLuaスクリプトを使ったプログラミング機能やカスタムGUI機能など、上位機種の拠点用VPNルーターRTX1200に搭載している機能を、エントリー機種であるNVR500にも展開しています。
牧田 他に注目の新機能としては、VoIP関連の優れた機能を搭載しています。ヤマハのVoIPへの取り組みは古く、近年は企業内の内線電話にVoIPを活用する提案を積極的に進めてきました。ネットボランチシリーズと自社製SIPサーバーを組み合わせた企業内線ソリューションは、すでに大きな実績を挙げています。コストパフォーマンスという点でも、この価格帯でここまでのVoIP機能を搭載した製品は、おそらくNVR500以外にはないでしょう。
ISDNリモートルーター
RTA52i (2000年)
——今回NVR500の仕上がりを見て感じたのが、「エントリー機種でここまでやるのか」といった機能が多数搭載されていることです。こうした部分に、可能な限りの高スペックを常に目指すヤマハの製品開発へのこだわりと伝統が感じられるのですが、実際に開発にあたった立場としてはいかがですか。
平野 ビジネス的な視点から言うと、一見オーバースペックともいえる機能群も、「あらゆる場所に対応できるようすべてのインターフェイスを備え、全国どこでもこれ1台で対処できる」という基本コンセプトの実現に必要だからです。日本中どんな通信環境の場所でも、NVR500が1台あればほぼ大丈夫というのが非常に重要なんですね。また、もしユーザーの個別の事情に合わせて足りない機能をそのつどカスタマイズしていったら、かなりのコストがかさんでしまいます。あらかじめ最大公約数の機能を1台にまとめて提供すれば、量産効果で価格もかなり安く提供できます(※2)。コストに厳しい小規模多店舗展開のお客様が、ルーターを利用する場所ごとに通信環境が違っても、全部NVR500 1台でまかなえるわけです。
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