——開発での苦心談や、とくに工夫したのはどういった点かをお聞かせいただけますか。
梶 ネットボランチシリーズの開発では、「過去の機能を捨てずに新しい機能を加えていく」という基本ポリシーがあって、今回もこれを守りながら進めるのが大変でした。シリーズ10代目(※1)ともなると膨大な機能が積み上がっていて、ここに新しい機能を加えると他にどう影響するか、実際にやってみるまで見当がつかないのです。既存の機能と新機能を両立させるのに、相当苦労しましたね。
——そこまで既存の機能にこだわる理由は、どういったことでしょう。
平野 RT58iやNVR500のようなエントリーモデルは、仕事の現場で日常的に使い続けているユーザーが多いんです。それがある日、新しい製品になったからといって、今までと同じ設定、同じ機能が使い続けられなければ仕事に支障をきたします。また必ずしもRT58iのような直前のモデルではなく、数世代前の機種からの買い換えの方が多いんです。それだけに、新機種の開発にあたってはかなり前の世代のモデルからサポートしていないといけない。ひとくちに旧機能の継承といっても、目配りが大変なのです。
ブロードバンド&ISDNルーター
RTA54i (2001年)
——NVR500では、筐体は旧モデルのRT58iとまったく同じサイズのままで、機能だけを向上させることに成功したと聞いています。これも既存機能の継承の一環なのでしょうか。
梶 そうです。RT58iのユーザーには狭いスペースに設置していたり、19inchラックの中に2台並べているお客様がいます。これを新製品でサイズを大きくしてしまうと、買い換え時に収まらなくなってしまいます。しかしNVR500では、USBポートやマイクロSDポートなどが増設され、電源スイッチも増え・・・というわけで、どうしてもスペースが足りない。そこを、内部の空間を微妙に詰めたりしてなんとか収納(※2)したんです。
平野 これも、「ただ詰め込めばいい」というわけではなく、“基板取り”といって基板のレイアウトを効率よく行わないとコストが上がってしまうんです。ユーザーの購入価格にも影響しますから、性能やサイズ要件を満たしながら、なおかつコスト面でもRT58iのベストサイジングをキープする必要があったのです。
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